15事件

某動画サイトに不審な動画が指定公開された。

i'm (Kurt,Curt,Curd,クルト)

というタイトルが付けられている。

「僕の名前はクルト。どの国家にも属していない人間だ。

今起きている共通の事件などは、僕あるいは僕らが起こした事柄だ。」

真っ黒の背景に、白い人のシルエットをした人物が話している。

目も鼻も見えず、ただ口だけが動いてみえる不気味な動画だ。

「大半の人間が各国家に属している。世界各国の諸君、僕あるいは僕らのクルトを名乗る人間を捕まえ、法で裁ける事ができるか。これまで犠牲になった僕らの、仲間に…amen」

3つの画面を囲むのは、今回の捜査で特例で単独捜査班に編成された班員達。

ナツ子はマウスを操作しながら、動画の解析を進める。

「仲間って、まさか。」

「急いで被害者の身元確認、戸籍謄本から洗い直せ!」

杉本はすぐ和田に指示を出した。

「はい!」

「自爆テロ?」

ナツ子が言った。

「いえ、自爆じゃないわね。犠牲ってワードもひっかかる。」

「だが、1つはっきりした事が分かったな。」

「ええ。」

「各国家に属さない…すなわち良くも悪くも国際問題へ発展する事を前提としている。けれど動画は指定付きの非公開。我々しか視聴していない。現時点では国内問題。」

杉本が言った。

「この点を踏まえてクルトって名前から、"ボス・クルト"の事と仮定。いずれ公になるのは時間の問題だ。各国がこぞって介入に踏み込むのは避けられない。」

フユ子はスマートフォンを操作しながら言った。

「クルトは多国で使用される男性名だ。的は絞りづらいな。」

「あの殺され方じゃフォーカスしやすいのは犯人像…」

「ここからね。」

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