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年配の男性は眉毛が少し印象的だが、とても穏やかそうな雰囲気の人だった。

「”マキ マスミ”だ。どうぞ宜しく。」

目を瞑ったままマキは挨拶した。

小笠原のとある一室。

「まさかのおっさん…。」

「声に出とるぞ。佐伯くんはいないのか。」

ハル子は帰庁に間に合っていた。

「仮眠です。コーヒーでいいですか?」

マキはスーツではなかった。

「お構いなく、私がやろう。」そう言ってマキは簡易なキッチンに立った。」

ミクルパンにお湯を入れて沸かす。

「君はブラックかね?」

「あ、いえ、はちみつソイミルク入れます。」

「ほう、食にはうるさそうだな。ところで、私に見られたくない物は、到着する前に片せたかな?」

「まあ、…はは。」

持ってきたマグとドリッパーを出し、コーヒーをいれる。

冷蔵庫から、豆乳を出し、もうひとつのミルクパンで温め、ほどよいところではちみつを入れてかき混ぜる。

「すぎにとは言わないが、信用していいい人間だ。”君のお姉さん”が入庁してすぐ上についたのは私だったからね。1度きりだが。」

マグにはちみつカフェを入れてやり手渡す。

「そうだったんですか。」

聞いたこともなかった警察時代の姉の過去を知る人が目の前にいる。

「彼女は優秀だ。ありがたい事に。だから、この件も受けた。」

「どうも。」とハル子はマキから受け取った。

マキはキッチンに少しもたれかかりながら、ハル子の顔をまっすぐにみた。

「少しでも、黒に近い者には近づくな。佐伯含め、本日からスリーマンセルだ。」

コトンとマグを置き、人差し指を上にむけた。

「君の探っている案件含め、徹底してあらうぞ。本土にある密書の写しを持ってきた。佐伯でも手出しできないような物だ。」

「そのうえスパルタときたか…。」

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