11たまには

小笠原の地下の一室。

「マキ…マキ…?またリストに載ってない…またコードネームか…そっちに載ってない? 」

ヘッドホンをしたハル子が通話をしていた。

『一応調べとくよ。ねえ、今度ご飯行こう。赤から。』

「Ms.ウィンターには?」

『言っとく。じゃ、またね。』

カチカチとキーボードを打つ音だけが残る。

「"マキ"ねぇ…レジスタンスかっての。イヤだなぁ。」ハル子の独り言だけが響いた。

一方ある時間では。

海を渡る男の影がある。

船首に立つ男は、ロングコートに帽子を被り、「ハックシュン。」と鼻をこすった。


壁にはでかでかと、赤から鍋と書かれたポスターが貼ってある。

都内某所では、3人が集まっていた。

「抜けてきて大丈夫なの?昼過ぎには動いたって聞いたけど。」

ナツ子は鍋の具を取って、唐辛子をさらに足して皿に盛る。

「大丈夫、大丈夫。あっちは船。頑張っても24時間かかるのよ。」

「仮にも、あんたの上官になるんでしょ、気の毒だわ。かたやジェットで2時間…。」

「佐伯さんに便乗だから、問題なし。ね?」

私は知らないと黙ってフユ子は鍋を作っていた。

「その佐伯さんは?」とナツ子。

「"マキ"が着く前に"整理"。」とフユ子。

「私も大方やったから、大丈夫。」

「姉ちゃん、さっきからキュウリばっかりじゃん。」3皿目だよ、とナツ子が呆れる。

「10辛とか明日に響くわ。どんだけ強いの、胃。」

「「余裕でしょ。」」

真っ赤になった白菜をナツ子は頬張る。

「…ボーノ。」

ハル子は「はいはい。」と返しただけだった。

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