9コンビ
小笠原のとある一室。
机には書類の山に、コンビニの袋、あんぱん、カップ、写真が何枚もあった。
「まあとにかく飯だ。奢りだ、食べろ。」
そう言って書類をパラっと見ながらパンを食べる佐伯。
「それで、以前"お前に付けた2人"は何故死亡したんだ?」
「その件については私も上も調査中です。」
「あと。お前。局内の上層部のリストとっただろう?誰の仕業だって騒いでんぞ。」
「開示請求したら、偽装な上に黒塗りだらけ、だったからです。」
これ貰います、とパンをひとつとり、袋に貼ってあるキャンペーンシールをはがす。
「なぜ偽装だと分かった。お前、誰を追ってるんだ。」
「あるべき人物の名前が、警察庁の役職名簿から消えてたから。」
「あいつからは、手を貸してやってくれと言われている。お前の命が俺の首と繋がっている事、覚えとけよ。」
「…前の2人は、」
「分かってる。動機は分からんが向こう側の奴らだ。だから消された。そして俺が来た。」
春のパン祭りのシートに貼っていく。シールはあと少しで集まる。
「"ただの警察官"が、こんな小笠原の地下まで来る訳ないだろう。言っておくが、俺が買って出たんだ。それをアイツらあぶり出す為に上が先に2人を指名しちまって。それで配属遅れたんだ。あいつキレてたよ。」
「そうだったんですね。あの人が…」
キレるなんて、と聞こえないくらいの声でハル子は続けた。
「だから、あいつは変わってやいないし、俺を信用しろ。」
ガサガサとビニール袋を漁り音をたてながら、もう片方の手はガラパコス携帯で、文字を打っている。
「安心しろ。」
そう言って、携帯を渡した。
「はい。」
ハル子はそれだけ言った。文は短い。
"内縁は無事だ。"
それだけが、件名のないメールの文にあった。
「まあでも、あいつからの件と、お前の以前の付き人の件は別山だ。俺も動いてる。並行で動くぞ。」
「人は見かけによらないですね。量がえげつないですよ。」
机には、1950年代〜2000年代に関する情報書類や、未解決事件報告書などが山積みだった。
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