5班

会議が終わり、エレベーターにて。

階を押すボタンはB6に添えられていた。

「木ノ下班長と、班員の皆さんには悪いですが、本日付期間内、特例で警察庁所属の私の指揮下で、動いて貰います。ただし、一、表向きには警視庁警察官と言うことで。私は本部総括と裏で、この班の兼任になります。以上、質疑応答どうぞ。班長は別班なので5人になります。」

フユ子は早口に伝えた。

「はい、まず何で俺ら何ですか?合同捜査でしょ。」

和田が言った。

「この班に辞令が下ったのは、実力と言いたいところですが、ナツ子…身内がいる件は班員はご周知ですね。動きやすさが一番重要だったからです。特例は長官辞令。単独の件は、警視庁公安が動いてる時に、合同だと色々面倒だから。今回、警視庁と警察庁のヤマがごちゃまぜになってるのよ。」

フユ子の押した先へと、

エレベーターはどんどん下がっていく。

「おいおい、そんなのさっきの会議じゃ上がってなかったですよ。」

「番狂わせか…」

和田に続いて、杉本が言った。

「情報漏洩しないで下さいね。ペーパーレス、データなし、頭で覚えて。」

「"巨人の左足"の下じゃ、潰されないようにしなきゃな。」

「盗みに、殺し、テロ、何でもありだから人手不足なのよ。猫の手も借りたい。」

「仕事増えるんだよね。給料上がる?」

ナツ子が、後ろの角すみから聞いた。

「公務員が何言ってんの。大体こんな辞令レアなんだからラッキーと思いなさい。」

すかさず杉本が「昨夜バックれしたのに何言ってんだ。」といった。

「しかし、身内の他班は上の奴らか、公安部の奴らばっかでした。どこが合同なんですか。」

「手口が様々だから手が付けられなくて模索中ってとこね。"合同に情報共有はしましょうね"って事。そっちの人間は少数選抜なの。後で、木ノ下班長とも打ちあるわよ。」

土山恵女史が「成る程、ココは元からその予定だったんですね。末端には情報すら、いかないはずが、って訳ですね。」と言った。

「まあ、公にするようなもんだな、そりゃ。」

「内部の炙り出し込みの会議だったんでしょ。端末付けてる人いたよ。」

ナツ子が言った。

「ありがとう。」

「発信先、分析次第芋ズリ式でやっちゃいます。」

「何だよ、ボーノ聴いてたんじゃなかったのか?」

和田が言った。

「盗聴のBGMにしてたよ、ね、姉ちゃん。」

「ブルートゥースよ、あんたも同罪。」

「昨夜バックれしてる時点でアウトだよ。上官も局長も怒ってたよ。俺の身にもなれ。」

杉本が言った。

「たまたま局長命令で、アリーナのサキュリコ取りに行ったの。」

「たまたまボーノのラスコンが昨日だったの。」

「何ヶ月前から、たまたま、はかってたんだ、お前ら。」

「でも一般先行発売だから。」

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