4会議

東京都千代田区の警視庁のとある大会議室。

ナツ子はインカムを付けながら、会議の進行を真剣に聞いている様子だ。

「えーですので、今回の区分を先程申した通りにする。各自、分かっていると思うがメモや音声、動画撮影は一切禁止。今頭に叩き込め。

また、今回の特別捜査は合同班を編制するため、各自打ち合わせは必ずするように。情報共有は基本だ。次にー」

『〜〜〜』

インカムからは会議とは違う音が聞こえる。

「なんで・・・あぁ・・・」

広い会議室の最前に7名が、大勢と向き合う形で並列に着席しており、うち一人が立って説明をしている。

真ん中に、フユ子が着席している。彼女もインカムをつけている。

ナツ子たちの班は後ろから数えた方がはやい。

「なんでボーノ解散したの・・・泣ける・・・」

ナツ子の前に座っている若い男性、和田虎之介が振り返る。

「会議中に何聴いてんだ。はったおすぞ。」

「課長が休ませてくれないから。」

フユ子の左隣には眼鏡の男性が、スーツで座り、インカムをつけている右隣にはキャップを目深く被っている年配の男性が、シャツにジャンパーを着ている。

和田は前方を見やりる。

「お前がチケット取って姉さん連れてったんだろ?総監困ってたらしいぜ。前夜打ち、逃げられたって。」

「だって姉ちゃんも最後に桃子見たいって言ってたし、仕方なし・・・」

「公安の奴らはインカム、盗聴なんて常識だから姉ちゃんはいいけどよ、お前はまずいぞ。」

「姉ちゃんとブルートゥースですから、共犯です。」

ナツ子は、机にうつぶせる。

「え、じゃあ、あんな所に座って堂々とボーノ聴いてるの、姉さん・・・」

「そうですよ、データないからブルートゥースで飛ばしてって言って来た。」

「とんだ肝っすね。」とナツ子の三つとなり前に座っている長谷川隆が言った。

ナツ子の隣に座る土山恵が続けて「だからあそこに座ってんのよ。」と言う。

土山の前に座る中で一番年配の杉本浩二。「お前ら総監に言うなよ。」

和田が「とんだ姉妹だ。」

杉本はなんとも言えぬ顔をしながら「ちなみに、俺らはあの人の管轄内になるぞ。」

ばっとナツ子は顔を上げた。「私それ聞いてない。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る