※トレジャーハンターと地竜の話
ねえ、ねえ、坊ちゃん。異種族の話聞いて回ってる。って聞いたんだけど、本当?
え? 誰って、みて分からない? 美人なおねーさん。
そんな冷たい視線向けないでよ。冗談よ、冗談。
もーせっかく大奮発してウィンクしてあげたのに、冷たいー。今の若い子って皆そんなにドライなの。お姉さん泣いちゃう……。
やめて。そんな面倒なものを見る目を向けないで。
悲しくなっちゃうでしょ。悲しくなっちゃうと死にたくなるのよ。
そこまで大げさなって。あのね、大げさかどうか決めるのはお姉さん。あなたではなく、私。わかる?
いいから、何の用事かって。
やっぱり冷たいわー。坊ちゃんはやめて他の人に話そうかしら……。
うそ、うそ! あっさり去っていかないでよ! ほんとに、ほんとに泣いちゃうぞ!
子供の貴重な時間を奪うのはやめて、はやく要件を話せって……。
ほんと冷たいわ……。でも、そうね。時間は大切ね。
久しぶりに人と話せたからちょっと楽しくなっちゃったの。許して。
え? 話好きそうなのに話せなかったのかって?
ふふ、ちょっと事情があってね。話せる状況じゃなかったの。
それなのに、見ず知らずの子供に何の用って?
最初にいったでしょ。坊ちゃん、異種族の話聞いて回ってるんでしょ?
ちょっとね、聞いてほしい話があるの。
なんでわざわざ俺にって? んー何でだろう。分からないけど、なんか身近な人じゃなくて、知らない誰かに聞いてほしくなる。そんな事ない?
分からない? そっかー分からないか。でも仕方ないかも。
私も今の心境はなかなか複雑なものだと思うのよね。坊ちゃんにいっても、きっとわかってもらえないわ。
何しろ乙女心は複雑だから!
早く、本題に入れって。ほんとにドライだわ……。もうちょっと女性にはやさしくしないとモテないわよ……。
えっと、それでね、聞いてほしい話っていうのは何年か前のお話なの。本当は胸に秘めておいた方がいいのかもしれないけど、話したくなっちゃったのよね。話さないとどうにも落ち着かないっていうか、心残りになるっていうか……。
坊ちゃんは地竜って知ってる?
有名だから名前くらいは聞いたことあるでしょ。4種いる竜種の1つ。
高い所に住む飛竜、熱い所に住む火竜、居所不明の黒竜。そして、洞窟なんかに住んでいる地竜。
当たり前に地上で生活していたらほぼ会うことのない種族。「人の国」内にはほぼいないんじゃないかしら。いても竜種っていうのは意外と人に紛れるのうまいから、気づいてないだけかもしれないわね。
どう? 少しは興味出てきた?
いいから早く話せって……うーん、興味持ってもらえるなら、いいかな?
地竜っていうのは竜種の中でも特に動かないことが多いの。地下の薄暗い洞窟に引きこもって、ほとんど地表に出てくることもなく、鉱石なんかを食べたりして、生活しているのよ。
鉱石しか食べられないのかと思ったら、普通に動植物も食べるあたりが竜種の不思議なところよね。体が大きいから、食べ物を限定するとすぐに食べ物がなくなっちゃって困る。みたいな話を聞いたことがあるけど、それにしたってほんとなんでも、手当たり次第に食べるのよ。
そんな竜種でも鉱石を食べるのは地竜だけ。火竜もマグマも食べるし、黒竜は魔力を食べるとも言われているから、人間の感覚と一番近いのは飛竜なんでしょうね。でも、私たちは空を飛べないから、理解は一生できないわね。
そんな地竜だけど、トレジャーハンターって職業の人には人気な存在なのよ。
何でかっていうとね、地竜っていうのは自分の大事なものを洞窟の奥底にため込む性質があるの。本人の好きなものをため込んでいるから、ほとんど無価値なものが多いんだけどね。
小さい頃にもらったぬいぐるみとか、好きな本とか。アクセサリーとか。他人から見たらゴミにしか思えないようなものでも、ため込むの。
でもそんな中にとんでもない掘り出し物があったりするのよ。だって、人間と違って異種族たちは自由に外の世界を動き回れるでしょ? 人間には行けない場所の物を当たり前のようにため込んでいることもあるわけ。
それに竜種の鱗や爪って頑丈だから、それだけでも十分に価値があるのよね。地竜の場合は鉱石を食べるから、体の表面に魔力を帯びた鉱石が出来るの。それが成長と共に剥がれ落ちたりするんだけど、びっくりする金額になるのよ。
アクセサリーとしても、観賞用としてもいいし、ヴァンパイアとかは加工して魔導具を作ったりするから重宝されるのよ。
生活していれば普通にでるものなんだし、竜種が販売してくれればもうちょっと値段も下がるんだけど、竜種ってそういうところ適当なのよね。
他種族の助けがなくても一種族だけで生きていけるから、他種と交流しよう。って感覚がないのよ。
まあ、鱗とかに関しては気持ち分からなくもないけど。
鱗とかって人間のいうところの皮膚でしょ? はがれた自分の皮膚が高値で売れます。売ってください。って言われたら、私だってイヤだと思うわ……。
坊ちゃんはどう? え? 売っちゃう? ゴミが高く売れるなら儲けもの?
意外と図太いというか、強いわねえ……。性別の差かしらね?
でも、その精神が地竜にあったらあんなことにはならなかったのかもね……。
言ったでしょ。トレジャーハンターには地竜は人気って。地竜は他の竜種に比べると、あまり移動もしないし、洞窟の奥って人間でもなんとかたどり着ける場所に住んでる。一獲千金を狙うにはよい存在なわけ。
もちろん危険はあるわ。
そもそも地竜のテリトリーは「人の国」の外だから。地竜のテリトリーに行くだけでも人間は命がけ。それでも、それに見合うだけの値段がつくから、私たちトレジャーハンターは地竜のテリトリーを目指すのよ。
え? トレジャーハンターに見えない?
ふふふ、よく言われるわ。女性のトレジャーハンターって珍しいものね。そのうえ私ったら美人なお姉さん! 男ばかりの危険な場所よりは、貴族の屋敷で優雅に暮らしている方がそれっぽいでしょ?
そこまではいってない? クールね。乗ってくれてもいいのに。
でもそうね、坊ちゃんの言う通り、トレジャーハンターなんて危険な仕事するよりも地道に働いた方がいいわ。一攫千金とはいうけど、労力に対して成果がない事だってよくあるし。
そう思うのに仕事にしてるのかって?
私の場合はお金がっていうよりはね、「人の国」の外に出てみたかったの。
人間って「人の国」の外に出ないまま死んでいく人が多いでしょ。異種族は自由に外を歩き回れるのに、人間だけは自分たちの国から出られず、外の世界を見ずに死んでいく。
北の方にはね雪山っていう、雪で全面覆われた山があるの。水が長い年月をかけて凍り付いた氷柱とかね、凍り付いた湖の上を歩いたりもできるのよ。
南にいくと海があるの。聞いたことくらいはある? 地平線の向こうまで水がたくさんあって、終わりが見えないのよ。湖なんかとはまるで違うわ。あと水がちょっとしょっぱいの。そこまで行くと見たこともない動植物なんかもいて、面白いのよ。
ほかにも外の世界っていうのはいろんな景色、いろんなものがあるの。
それを異種族は当たり前みたいに見ることが出来るのに、人間は見られないのって不公平だと思わない?
でも観光で行くにはあまりにも危険だし、お金がかかるわ。腕がいい異種族を長期間やとわないと、「人の国」の外に行くなんて自殺に行くようなものだから。
それでも私はどうしても外が見てみたくて、それでたどり着いたのがトレジャーハンター。仕事だから行く場所は選べないけど、仕事の範囲だったらそれなりに自由にしてくれるし、私と似たような考えの人もいる。
危険な仕事ではあるし、安定もしないけど、それでも私にとっては天職。そういえる仕事なのよ。
って、話が脱線したわね。地竜の話に戻るわ。
聞いてほしいのはこの先の事だから。
地竜のテリトリーには実は何度か行ったことがあるのよ。もちろんバレないようにこっそり。鱗や爪とか売れそうなものを持ち帰るだけだけど、泥棒には違いないし、地竜からすれば自分の体の一部を持ち帰られてる。って考えたら気分のいいものじゃないわよね。
それでも暗黙の了解ってやつがあって、目に余る行動をしなければ結構みのがしてもくれるの。
竜種っていうのは体は大きいし、最強種って言われてるけど性格的には温厚なのよ。
顔がいいだけの高飛車なヴァンパイア、高圧的な鬼、何考えてるかわからない妖狐、排他主義のエルフと比べたら、滅多に出会えない。ってことをのぞけば、話の通じる上位種だと思うわ。
ただね、一つだけ竜種と関わるうえで忘れちゃいけないことがあるの。
絶対に相手の領域を犯さない事。
竜種は温厚だけど、自分に害がある存在。そう思ったら情け容赦はしないのよ。一度怒らせてしまったら、人間が勝つのなんて不可能。大人しく蹂躙されるほかないわ。
そのことを地竜のテリトリーにいくトレジャーハンターはよくわかっている。いや、よくわかっているつもりでいたの。何度もいって、無事に帰ってきているからきっと気が緩んだのね。その一度の緩みでどうしようもない結果になる。そう知っていたはずなのに、自分たちは大丈夫。そう思っていたのよ。
いつも通り、洞窟に潜って地竜の爪や角、鉱石を探して帰る。そうすれば何の問題もなかったのに、人間って慣れて恐怖を忘れると欲が出てしまうのね。
仲間の一人がもうちょっと奥まで行きたい。っていい始めたのよ。
もちろん奥に入るのは危険だわ。地竜の洞窟っていうのはかなり深くまであるんだけど、私たちが潜るのは全体でみたら浅い部分。どのくらい奥まで進んでいるか想像もつかないし、興味があってもしてはいけないことなの。
奥っていうのは地竜にとってはプライベートゾーンなわけ。知らない人間が家に勝手に入り込んできたら、私だって怒るわ。地竜だってそれは同じ。
特に竜種は縄張り意識は強いから、浅い部分をうろついてても見て見ぬふりをしてくれる辺り、私たちにずいぶん配慮してくれてる。そう思うべきだったの。
単純に奥に行けば行くほど洞窟が入り組んで迷う。っていう危険性もあったし、手に入ったもので十分成果は出せたわけだから、結果から言えばそこで帰ったほうが正解だった。
でもね、やっぱり人間なれると警戒心が弱まるのよ。
何とかなる。もっとできる。そう思っちゃうの。向こう側の恩情で私たちが生かされている。って事実を忘れてしまうわけね。
私は正直帰りたかったわ。だって怖いでしょ? 奥に行けば行くほど、真っ暗なのよ。地竜は暗闇でも見えるけど、人間は灯りがないと見えないわ。しかも奥に行けば行くほど、ここは私たち人間の居場所じゃない。そういう雰囲気が強くなって、何度も帰ろう。引き返そう。っていったのよ。
でも、仲間たちはそれが逆に興奮材料になったのね。未知の空間が好き。知らない場所に踏み込むのが好き。トレジャーハンターっていうのはそういう危険大好きな探求心の強い人種の集まりだもの。
だから、踏み込んじゃいけない領域まで踏み込んじゃったのよ。
そこにどうやってたどり着いたのか、分からない。
ただ奥へと進んでいったら、広い空間に出たの。ずいぶん長く歩いた気がしたけど、地竜の巣穴のどのあたりだったか想像もできない。奥まで迷い込んでいたのかもしれないし、まだ上層部分だったのかもしれない。
今となっては何も分からないけど、その空間にはね、私たちが見たことのないような輝くものがいっぱいあったの。何だったのか、恥ずかしいけど私はそんなに学がないから分からない。
それでも、とにかく綺麗な光景だった。
見たこともない綺麗な丸い石とか、キラキラ輝く水晶とか。とにかく輝くものが部屋中にギッシリ並べられてて、ここが地竜の宝物庫なんだって一目でわかった。
私たちは輝く空間に目を奪われて、思考が停止しちゃったのよ。
だって見たこともない、綺麗なものが部屋中にあるの。売ったら間違いなく高い。そう分かったのもあるけど、それ以上にこんなに世界には綺麗なものがあふれている。その事実に私は感動して動けなかったわ。
だから、反応が遅れたの。
見るだけにしておけばよかったのに。いやもしかしたら、部屋に入ってしまっただけで、もうダメだったのかもしれないけど。それでも、許してくれる可能性はあったのに。仲間の一人がふらふらと、近くにあった綺麗な宝石に近づいて、あろうことか触ってしまったのよ。
盗む気だったのか、間近でただ見たかっただけなのか。私には分からないけど、どちらにしても自分の領域に侵入して、自分の大切なものに触った。それだけで、あちらかすればルール違反。そう思うには十分だったのね。
ズシンってすごい音が聞こえたわ。部屋事態が揺れて、私はよろめいた。何が起こったのか分からなかった。
洞窟っていうとすごい狭い場所を想像するでしょ? でも、地竜の洞窟ってそうじゃないのよ。地竜が大きいから、人間からするとものすごく大きな空間なの。
それでいてほとんど灯りがなくてね、見通しが悪いのよ。
だから気付かなかったのね。いつからいたのか。もしかしたら最初からいて、私たちの反応を見ていたのかもしれない。気付いたときには後ろに、真っ黒な大きな地竜がいて、部屋の出口をふさいでいたの。
何十メートルもする洞窟の天井ギリギリに頭があった。そこから暗闇でも光る眼が私たちを見下ろしていたわ。低い唸り声が聞こえてね、怒ってる。ってすぐに分かった。
逃げたかったけど、逃げ道なんてなかった。唯一の出入り口はふさがれてるんだもの。
私すぐに謝ろうと思ったの。その気になれば私たちを殺すのなんて簡単なのに、黙ってみてるってことはまだ助かる見込みがある。そう思って、土下座でもなんでも安いもん! そう思ったの。
でも、仲間はそれよりも恐怖の方が先だったのね。
あろうことか、持っていた地竜の宝物を落としてしまったのよ。ガシャンって何かが砕ける音がしたわ。見なくても、宝石が砕けた。そう分かる音。
その音と同時に黙っていた地竜の目つきが変わったの。低い唸り声が、部屋全体を震わす咆哮にかわって、大きな前足で私たちを薙ぎ払った。
私はあっさり吹っ飛ばされたわ。こんな簡単に人って宙を舞えるのね。って笑えるぐらい。
吹っ飛ばされた衝撃で、結構高い所から落ちたみたい。体全体に衝撃が走って、おさまっても全身が痛くて、指一本も動かせないの。
ちょうど落ちた位置から部屋全体が見えてね、地竜に踏みつけられ、切り裂かれる仲間が見えたわ。ああ、ほんとうに、あんなにあっさりと人間は死んでしまうのね。って痛みと恐怖で頭がおかしくなったのか気づいたら笑ってた。
そんな私の目の前で仲間たちの体からは血が噴き出して、体が引きちぎられて、最後は食べられた。
人間って食べられると嫌な音がするのね。骨がかみ砕かれる音と、肉が引きつぶされる音ってすごく不快なの。それが終わったと思ったら、喉が動いてあっさり地竜のお腹の中よ。
せめて美味しそうな顔でもしてくれたら救われたのに、地竜の目は冷たかった。お腹がすいてるわけじゃなくて、自分の領域を荒らされたことに対する怒りと八つ当たりでしかなかったの。生きるため。そんな理由はそこにはなかったわ。
だって、地竜は肉も食べるけど、食べなくても生きていけるのよ。人間なんて食いでがないもの、好きなわけないわよね。
それでも、私たちの事を許せなかったのよ。
部屋全体を震わせながら、大きな体が近づいて、大きな口が開くのがやけにゆっくり見えたわ。地竜の口の中って見たことある? とにかく大きくて、グロテスク。牙もバカみたいに大きくて鋭くて、あれに突き刺されたら痛いだろうな。って思ったわね。
思った通り、痛かった。
視界が真っ暗になった。と思ったら全身に痛みが走って、体が千切れる感覚と同時に、私の記憶もプツンとキレたの。
あら? どうしたの? ずいぶん青い顔してるわよ。
ふふふ、怖かった? それとも、信じられないかしら。
だって私の話した話が本当なら、今ここにいる私は何者。そういうことになるものね。
あなたはどう思う? 私の話、嘘だと思う? それとも真実で、ここにいる私はすでに死んだ存在。幽霊。そうだと思う?
ねえ、坊ちゃん。あなたはどう思う?
……ふふ、うふふふふ!
ちょっと、坊ちゃんそんなに怖がらないでよ! ああ、おかしい!
冗談よ、冗談! ごめんねー。最初から全部作り話。
あら、あら。状況が理解できてないみたいね。
嘘よ、嘘。私がトレジャーハンターなんて嘘。地竜のテリトリーにいったのも嘘。食べられたのも嘘。
本当の仕事は役者なの。あたたもトレジャーハンターっぽくないっていったでしょ? この美貌は人に見られてこそのもの。そう、あなただって思うでしょ?
ちょっとした練習よ。私を全く知らない人に実話みたいに話して聞かせて、相手をだませるか。っていう演技の練習。
そんなに怖がってもらえたってことは、お姉さんの演技は完璧だったみたいね。よかったわ。
あらら、すねちゃった? ごめんねー。そこまで怖がるとは思ってなかったのよ。美貌だけじゃなく、演技の才能までずば抜けてたなんて、おねーさんったら罪な女ね。
謝る気があるのかって? あるわよ。大あり!
それに感謝してるわ。見ず知らずの私に最後まで付き合ってくれてありがとう。
最初は話聞いてくれないし、冷たいし。どうしようかと思ったけど、不満な顔して最後まで聞いてくれたんだから、あなたいい子ね。
何で、あんな話にしたのかって?
あなたが異種族についての話を集めてる。って聞いたから、異種族の話がいいかなと思って。でも、話のチョイスに関しては悪かったわね。
許して。お姉さんに語れる話はそれしかなかったのよ。
満足したかって? 満足したわ。
坊ちゃんの反応とっても嬉しかったわよ。ふふふ。これで心残りはないわ。
ああ、でも一つだけ。
坊ちゃんはこれからも異種族について、いろんな話を聞くんでしょ? きっと聞くだけじゃなくて関わることも増えていくと思うわ。
だってここは王都。「人の国」内ではあるけど、異種族が一番集まる国だもの。
今や異種族は隣人。そして「人の国」内にいれば、人間が優位なのは揺るがない。それが世界のルールよ。
でも、忘れないでね。
彼らは隣人だけど、踏み込んではいけない領域があるわ。
人間だってそうでしょ? 友達だろうと、家族だろうと、踏み込んではいけない場所っていうのが誰にでもある。
異種族の場合はね、人間とか感覚や文化が違うから、それが人間同士より分かりにくい。
だから、自分の価値観で相手を見てはいけないわ。
彼らの価値観を考えて、想像して、受け入れる努力をしないといけない。
お節介なお姉さんからのアドバイス。できたら忘れずに覚えておいてほしいなあ。
あなたはこれからも王都で生きていくんだから。
じゃあ、坊ちゃん。本当にありがとう。
ずっと話したくて仕方なかったから満足したわ。
お姉さんの作り話は広めてくれていいから。むしろ怪談として後の世に語り継いでくれると嬉しいわ。
とっても美人で聡明で、勇敢なトレジャーハンターの悲劇ってね。
え? 盛りすぎ? 盛りすぎくらいの方が面白いものよ。
王国歴248年 夏
東門
演技が上手いお姉さん
追記
後日、東門に残る出入国記録を調査。
数年前、女性1名を含めたトレジャーハンターの一団が地竜のテリトリーを目的地に出国した記録を確認。
帰国記録はなし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます