第13話

 その後。

 今日一番の笑顔を見せながら


「しょうがないから友だちになってあげますよ」


 と、なぎさは言った。

 イマイチ締まらない終わり方だが、これにて一件落着だ。俺となぎさに友だちができた。これ以上の結末はないだろう。 

 俺は、喜びのあまり小躍り。思いっきり馬鹿である。


「友だちになったんですし、LI○E交換しましょう」


 そんな彼女の提案で、俺は初めてLI○Eを起動させた。

 これは、新しい携帯だから、という意味だ。前の携帯でもたまには使っていた。


「あれ、友だち三十人って表示されてるじゃん!」


 なぎさのLI○Eの友だち数を見ると、なんと三十人と表示されていたのだ。騙された……?


「ああ、いえ。これ全部公式アカウントです」


 ……世界には見ない方が良い、悲しい事実があることを思い知らされたのだった。

 で、賽銭箱に小銭を入れて(長居した詫びみたいなものだ。願い事はしなかった)、アイスの棒をコンビニまで捨てに行ったとき、美咲に遭遇したのだった。


「どこにいたのだ、二人とも!」


 ジャングルにでも行ったのか、泥だらけで、髪が乱れていた美咲を見て、なぎさは吹き出した。

 その笑顔は、やはり剣上美咲の妹だからとかではなく、普通ににこやかなものだった。

 友だちがいないとか、勉強ができないとか、運動ができないとか、別にどうだっていい。

 その笑顔を見せられるなら、な。


 なんて、最後くらい最後らしくかっこつけて。

 おしまい。

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