英雄になれない僕だから

吾妻巧

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 僕はヒーローになりたかった。

 テレビの中で、漫画の中で、小説の中で、活躍する彼らはとても格好良かった。

 普通ではできもしない難題を解決し、悪党を倒し、泣いている女の子を救い出す。

 そんなヒーローになりたいと、憧れを抱かずにはいられなかった。

 でも、成長するにつれて、現実と空想は乖離して、思い知らされる。

 自分は特別ではないのだと。

 自分はヒーローになれないのだと。

 それでも、僕はヒーローになりたいと、ずっとどこかで願っていた。


 これは、きっとそんな僕だから、選ぶことができた物語だ。

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