第12話 ★運用例 ダクラ高原2

ごきげんよう。崔浩である。


ダクラ高原。


てきとうに考えたら割と緯度が低いっぽい

名詞たちになってしまったぞ。仕方ない、

緯度を30度辺りとしてしまおう。


してみるとチベット高原辺りを

参考にするのがよろしかろうか。

低緯度であるが高高度であるため、

通年温暖な気候が維持されている。


※読者諸氏に申し伝える。

 良くないぞ。行き当たりばったりはな。



さて。緯度が下がると何が起こるか。

天の北極が下がる。故に「至尊」も、

どちらかと言えば近しき存在となろう。


ただし、結局は天変地異を為す意思である。

優しくも怖ろしい主神像が生み出されよう。


「昼の民」による高原侵略は、

そのまま北極星=創世神ダクラへの

供物であった。

即ちダクラ神殿の所在地を

経度ゼロ、緯度三十度と見做し、

侵略を為した地を星座として

組み込んでいった。


「星図に記された地を埋めていく」。

これが、昼の民の「侵略」意図であった。


故にダクラ高原には、大きく分けて

二種類の地名が現れる。

原住民がつけていた名を星座に転化した地、

あるいは、星座によって

名が改められた地である。


これは、星座に割り振られていた伝説と

地勢との一致度によって変わった。


また、早い段階で太陽と惑星が

天球上のほぼ同じ場所を通ると

算定されていたため、

主要星座は黄道上に配置、

またメディスとスファーに

世界の始まりを見出すことから

「2倍」を神聖視するため、

方角は十六方既定が為され、

同じく黄道上を十六分割、

各区画に主柱神が配され、

また星座の名ともなった。


十六柱神の名は考えぬ。

筆頭がメディス、スファー。

それ以外はうんぬらかんぬらである。



スファーの立ち位置には異説があり、

「夜の民」の反乱を煽動したとも、

食い止めようとしたとも言われている。

表面上の主流は後者であるが、

根強い「夜の民」への差別意識から、

多くは、内心では前者を支持している。


このギャップにイェルゲが付け入り、

「夜の民」迫害が加速する。


そして、それを止めんと立ち上がるのが

ユスーフの息子、ツェンツェ。

偉大なるチベット王ソンツェンガンポより

名前をお借りした(突然の歴史的発言)。




では、物語をこう設定しよう。


ダクラ神殿の神聖政治から、

ダクラ王による統治への変換。

即ち、初代ダクラ王ツェンツェの

即位までの道のり、である。



以下のあらすじとする。



 星見に長けた母、ポルヌラと、慎ましくも幸せな生活を送っていたツェンツェ。そこにイェルゲの直属軍が現れ「イェルゲ論文を出せ」と迫る。無いものは出せないと抗弁するポルヌラだが、直属軍はポルヌラを掠い、去ってしまう。後に残されたツェンツェには、かねてよりポルヌラから鍵が渡されていた。「何かあったら、この鍵をラゲイ将軍に見せろ」と言われていた。

 ラゲイのもとに出向くと、その鍵は小さな箱を開けるものだった。中にあったのは、イェルゲとの戦いに敗北を予期していたユスーフの遺言。各地の仲間に、イェルゲ論文の破片を、それとわからぬ形で託したのだという。

 ラゲイの助力も得て、論文を集めて回るツェンツェ。だがその目論見は、すぐにイェルゲに露見する。イェルゲ論文を奪取せんと目論むイェルゲ、奪われるまいとするツェンツェ。またラゲイも協力者の振りをしつつ、その野望はイェルゲを廃し、神殿の主として君臨することであった。

 やがてツェンツェは、論文集めの旅の中で、神殿の支配体制が限界に近くなっていることに気付く。一方のイェルゲは、「夜の民」を滅ぼすためには、今の神殿のシステムではどうしようもない、と感じていた。旅の中で、ツェンツェはイェルゲを止めねばならない、と思いながらも、神殿の現状に疑問を呈しているる部分には、どこか共感も覚えていた。

 論文集めの旅は、またツェンツェの仲間集めの旅ともなる。中でもツェンツェを大きく助けたのが、ラゲイの息子、ムユルマ。かれの助力と、ツェンツェに開花したリーダーとしてののカリスマが、やがてはツェンツェを反神殿勢力のリーダーへと押し上げる。この動きにはイェルゲはおろか、ラゲイもが警戒した。

 三つ巴の戦いの混乱が続く中、イェルゲ論文はラゲイの手に渡る。イェルゲ論文は、神殿による「夜の民」迫害が、神殿の恣意でしかない、と記されているものだった。それを読み、「神殿の転覆を目論んだ」とイェルゲは失脚、処刑される。

 だがこの段階に至っては、もはや神殿の権威は落ちていた。ラゲイの動きは論文を抹殺し、神殿の権威を維持させよう、と言うものであった。その動きをすれば「神殿」そのものが崩壊しかねない。

 あるとき、ムユルマがツェンツェの元から離れる。しばらく行方をくらませていたと思ったかれは、父のラゲイを殺し、神殿の長となっていた。そして大々的に、ツェンツェに宣戦布告をなす。

 この戦いは激しいものであったが、最終的にはツェンツェの勝利に終わった。そしてムユルマはツェンツェの前に連行される。そこで、意図を打ち明ける。

「ツェンツェを王とし、神殿には儀式を取り持ってもらう。政治と信仰を分けることで、人々の生活に政治が行き届くことになるだろう。だが、そのためには、神殿を私物化した大悪党と、その打倒が必要だった」。ツェンツェの覇権獲得のために差し出される、大罪人という名の生贄。それをもっとも上手く演じられるのは自分だ、と言うのである。

 どのような意図があれ、ムユルマの行いは到底赦免できるものでもなかった。ムユルマは処刑され、ツェンツェは王となる。その後、世にムユルマの名は悪逆の徒の代名詞として扱われたが、ある一地方でのみ、その名が聖人として残されているという。


(了)



ラストは完全に厨二趣味である。


うむ、こちらも長くなってしまったな。

ではいよいよ次回、最終回。


この物語における、厨二台詞を

捏造して参ろう。


では、また次回。

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