第11話 ★運用例 ダクラ高原1

ごきげんよう、崔浩さいこうである。


当話が当講座、本編の最終回である。

以降は必要に応じ、

増補してゆければ、と考えている。


さて、最終回の今回。

本講座にて示した内容を元に、

実際に天体観を仮に作ってみよう、

と言う物である。



舞台は、ダクラ高原。

創世の女神ダクラと、

産み落とした二人の息子、

光のメディスに、闇のスファーが

悠久の営みを送る、とされる地である。


なお、今てきとうに考えた。


さてダクラは無に息吹を与え、

光と闇とを分かった。

軋轢と混交の中より二人の息子が生まれ、

また二人より万物が生じた。


当初手を携え、万物を産み出していった

メディスとスファー。

しかしメディスの産み出す「昼の民」が

見目麗しいのに対し、

スファーの産み出す「夜の民」は

醜悪、獰猛であった。


これを忌み嫌ったダクラ、

「夜の民」を迫害する。

抑圧された「夜の民」は、

やがて反乱を起こすも、即鎮圧。


こうして「夜の民」は

高原の片隅に追いやられ、

「昼の民」は、

高原で大いなる栄華を手にした。


以上を建国神話とする。


元々は同じ部族の内、

勝者が肥沃な地を獲得し、

敗者が僻地に追いやられた、という

力関係を正当化したものに過ぎなかった。

なので、根強い差別偏見はあったものの、

長い年月を経て、二つの民は

緩やかに融和しつつあった。


だがある日、両部族は、

急激に憎しみ合うようになる。


この動きの主導者は

ダクラ神殿大教正イェルゲ。


「夜の民」の酋長と、

外部からの流れ者の女との間に生まれた

イェルゲは、生まれながらにして

「夜の民」の中でも賎民として

扱われていた。


そんなイェルゲは、あるとき「夜の民」の

住まいである洞窟の一つに、

強靱な武具を産む鉱脈を発見する。


鉱脈を元手として、際立った知能を発揮し、

隠然たる勢力を築くイェルゲ。

その陰には、高い身体能力と

一途なまでの忠実さでイェルゲを助ける

若き戦士、ユスーフの姿があった。


ユスーフの助けも得て、栄達するイェルゲ。

しかしあるとき、ユスーフは

イェルゲの野望に気付く。


それは、憎むべき「夜の民」の根絶。

手に入れた力を元手に仕官を果たした

ダクラ神殿内でも、

イェルゲは瞬く間に出世していく。

そして、イェルゲの発言力が

上がれば上がるほど、

神殿の「夜の民」排斥の動きは強くなる。


自らの行為が、どのようなものであったか。

ユスーフは、自らの父祖や子孫を

滅ぼす手伝いをしてしまったのだ。


己の罪業に気付いたユスーフは

イェルゲと袂を分かち、反乱を起こす。

しかし、あえなく鎮圧。

ユスーフは殺された。


そして物語は、ユスーフと恋に落ち、

志を共にした一人の少女の胎内に

命が宿った所から始まる。



……と言った物語があるとする。

(書く気はない。)



では、この物語では、

如何なる天文模様を描けようか。


うむ。思いがけず前置きが

長くなってしまったな。


なので、一旦ここで話を分けるとしよう。

では、また次話。

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