第02話 運用アウトライン
ごきげんよう、
本話にては、当講座のレジュメ、
兼、大雑把な内容紹介をさせて頂く。
忙しい方は、ここまでで大丈夫である。
「自分のファンタジー世界で
星見的台詞を吐かせたい!
そこには、それなりの
統一感を持たせたい!
でも、どう考えよう!」
と言うネタの参考に
して頂ければ幸いである。
○理屈ベース
中国古来の天体思想を援用する。
即ち、天の北極に「至尊」があり、
その周辺に国が構成されている、
と言う理屈である。
ここに、衛星や惑星、彗星等が
どのように干渉するか、で
占うわけである。
○天体配置について
地球から見ると、太陽及び惑星は
原則として黄道上を移動する。
(衛星は大きくブレているし、
惑星は衛星ほどでないにせよブレる)
よって太陽や惑星の移動の目安としやすい
黄道周辺に主要星座が配置され、
黄道周辺にない部分を「崇高なるエリア」
として規定することが叶う。
ここで中国古来の天体思想にては、
天の北極周辺に「三垣」が配され、
天の赤道付近には
(※いきなりの卓袱台返しで恐縮だが、
中国式の星座は黄道上の配置ではない。
恐らく、天の赤道上が
最も星の移動半径が大きいため、
天の赤道上に制定されたのであろう。
ただしこのやり方は、
物語で運用するには少々ややこしいので
余りお薦めできぬ)
「二十八宿」と呼ばれる星座が配された。
以上より、
天の北極付近のエリアに「天の首都機能」
「天の首都にいる王侯貴族、官僚、子女」
の星座を設定する。
周辺星座については、まず暦が必要である。
その世界で用いられる「新年」の天体配置を
方角配置ベースとし、この時期に
「東の空の先頭」にいる星を、
季節の星座の先頭とする。
中国では
それぞれ春・夏・秋・冬の星座に該当する。
四神の守護方位は東・北・西・南である。
各季節の要素をエリアに割り振れば、
(例えば春には農工具など、
各シーズンの行事に用いられる道具、
その行事にまつわる偉人聖人など)
その時期の諸々ごとに、
星座と衛星等との兼ね合いを併せ、
吉凶を判断できる、と言う仕組みである。
○干渉してくる天体について
ここの運用は、中国式を忘れたほうが良い。
というのも中国式は「重なる」ことを
極端に嫌う思想であるためか、
歴史書にはほぼ凶兆しか書かれておらぬ。
「星座に重なれば凶兆」
「衛星と惑星が重なれば凶兆」
である。一通り調べ、げんなりとした。
歴史書であるから、諫言的要素の占いしか
選出されていない、と言う説もあるようだ。
もっともな話である。
恐らく、吉兆も示されているのであろうな。
・衛星
地球であれば、月。
太陽から大きく外れた軌道を描くため、
様々な解釈が叶う。
また複数個登場させて、
吉兆の星、凶兆の星と決めるのも良い。
タイミング次第では見かけ上の軌道が
一致し「大凶兆」「大吉兆」と
演出も出来よう。
さらに太陽と絡めれば、
二重日蝕などと言う
とんでもなく美味しいネタを
決めることも可能である。
なお2つ以上の衛星は、
同一平面上で公転させずとも良い。
極端な話、片方が縦方向に動き、
片方はずっと同じ高さを保ったりも
する筈である。
また、公転方向が逆であったりもする。
つまり、およそありえぬ
挙動をさせてもオーケーである。
案外実在の軌道の方が、
それでもなおファンタジーであるからだ。
海王星あたりの衛星軌道などは
なかなかイカレておって良い。
参考になさるとよいだろう。
・惑星
お薦めの運用は
内惑星1、外惑星2である。
理由はそれぞれのパートにて記す。
通常の天体と動き方が違う星、
それが惑星。「惑う」星、である。
ただしこの語は、古代中国にはない。
江戸明治期の舶来語輸入時に発生した
外語翻訳語彙の一である。
特徴としては「逆行」があること。
通常、天体は東から西に流れる。
しかし地球も他の惑星も公転をしている。
そして、それぞれで速度が違う。
なので位置関係の変化から、
地球からだと
「西から東に移動している」
よう感ぜられるタイミングもある。
逆行は、ほぼ凶兆として扱われている。
ここで凶星の逆行を大凶兆とするか、
「マイナスの逆はプラス」とするかは、
諸氏が生み出した異世界の
思想ベースの性格にも依ろう。
内惑星、地球からすれば水星・金星。
共に太陽の側にあるため、太陽の弱まる
明け暮れにしか見えぬという特性がある。
そして水星は、あまりに内側すぎるため、
ほとんど占い上にも登場せぬ。
その代わり金星は大活躍である。
故に、1つのみの運用でほぼ事足りる。
外惑星、火星・木星・土星。
中国式では火星がド級の凶星扱いである。
赤いしな。やむを得ぬな。
木星土星は、今回の典拠とした
二十四史「宋書」では、ほぼ扱いが同じ。
故に、敢えて役割を分ける必要もない。
なので纏めてしまった方が
運用は楽であろう。
故に、2つ。
なお天王星、海王星は
肉眼では見えぬ星なので無視して構わぬ。
あるいは、特定の魔法に応じて出現する
「秘せられし宿業星」として扱えようか。
実際、この2星の発見のされ方は
「この星の存在を想定しないと
各惑星の関係性の計算が合わない!」
という推測からの捜索であった。
「ないと辻褄が合わぬ星」、
運用の仕方次第では
非常に魅力的なギミックとなろう。
※妙齢の諸氏へ。
冥王星は 2006 年に
惑星から外されておるのでな。
ご注意なされよ。
・流星、彗星
出現地点、消滅地点が重要である。
出現地点の命運が、
消滅地点に基づき解釈される。
例えば「帝の星」から
「後宮の星」に流れた場合、
皇帝が後宮で死ぬ兆し、
と解釈できたりする。
・オーロラ
中国でも
数十年に一回レベルでの目撃例がある。
「天が割れた!」「魔王
などと大騒ぎになっておる。
案外低緯度帯でも見られておるので、
ここぞというタイミングでは
使っても構わぬのである。
次話以降では、天体体系、惑星系の
中国史上での運用を紹介する。
「理屈の体系を、
じゃあ実際にどう組み立てようか」
の参考となろう。
が、その前に断り書きを挟むこととする。
オマケ的内容なので、さくっと次次話に
飛んでくださっても構わぬ。
それでは、また次話。
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