第03話 ★運用にあたっての注意

ごきげんよう、崔浩である。


当話は、少々踏み込んで

設定を考えたい方向けの注意点である。

よって、「厨二! 厨二!」

と興奮しておきたい方は、

飛ばして下さって構わぬ。


また以後も、「飛ばしても構わぬ」

項目については冒頭に★をつける。



さて、では何を伝えたいか。


「中国のシステムなんだから、

 本当は中国の環境踏まえなきゃ

 上手くマッチしませんからね?」


と言う話である。



とは言え実はここ、

あまり深く考えずとも良い。


と言うのも、例えば、気候が

何となく中国や日本っぽい、のであれば、

勝手に条件が適合してくるからである。


日本人がカクヨムするファンタジー世界を、

日本らしからぬ気候条件下で書かれると、

色々制約が面倒くさくなる。

と言うよりも、読者のことを考えれば、

「日本っぽい気候の世界」で

ファンタジーをやる方が

単純な没入感は高まろう。


何せ、余計なことを考える必要性が、

ひとつ減る。


なので以下は、その辺りから

敢えて目をそらさぬと

どのような惨事となるのであろうか、

がテーマとなる。


また、そこを如何にかいくぐろうか。



○政態以前の思想の既定


まず国家の存在の前に、

確固たる思想が存在せねばならぬ。

中国で言えば儒教のような、

支配システム以前の

「人としてのありよう」等を

規定する思想である。


ここがなければ、星座と政態を

結び付けることは叶わぬ。

「世の中のあるべき姿」を

提示されていて、

初めて星座と下界とのリンクが叶おう。


ただ、ここは

容易にクリアーが可能である。

「神の作った世界」であることを、

世界の中での常識とすれば良い。

こうなれば、いやでも

全てのシステムは神の存在が前提となる。


そう、天体すら、である。


この関連で、

アニミズム的思想が強い世界では、

天球上に政態が反映されようはずもない。

故にアニミズム的世界観、

あるいはストーリーの結末が

アニミズム的になる作品では、

当講座におけるあれこれは、

非常に採用しづらい。


どうしても飛び道具的運用とはなろう。



○想定されるエリアが緯度23.5°~45°


地味にこれが足を引っ張る。


星座の配置は、経度(東西)では変わらぬ。

しかし、緯度(南北)はそうはゆかぬ。


ここが違うと、天の北極の

高さが変わってしまう。

即ち、想定される星座配置も大いに変わる。


赤道直下の国の星見役に取り、

天は「一斉に東から西へ流れる河」である。

何せ天の南北極が地平線上である。

全ての星が並行軌道を辿る様は

さぞかし壮観であろうが、

とは言え、斯様な動きから

天に中央集権国家を想像するは叶うまい。


対して、極点近く。

そんなところに人が住めれば、

の注意付きとはなるが、

北極星が真上、いわゆる天頂に鎮座する。

天頂を中心に、あらゆる星が

同心円を描くのである。

こんなレベルの動きを観測してしまえば、

そんな物は神のみ業としか思えるまい。

天は神の領域。

人知でああのこうの言うのすら

烏滸がましく感ぜられよう。


続いて、中国を語る。


乱暴な計算をする。中国式の星座は、

洛陽近辺から見ることを想定して作成した、

と言える。即ち北緯約35度。

すると、北極星への仰角は、

やはり約35度となる。

見上げるにしてもあまり首の痛くならぬ、

なかなかほどよい高さである。

この高さの北極星であれば、

人々にとっても無理なく至尊の星として

親しむことが叶おう。


途轍もなく乱暴な話で恐縮であるが、

「北極星が、仰ぎ見て崇めるのに、

 ちょうどいい高さにあった」ことは、

中国の星々がひとつの帝国として

存在した理由ともなろう。


以上を踏まえれば、

回帰線(約23.5度)~45度エリアを

想定しての作品であれば、

それなりにうまく運用が利こう。


こうして書いてみて、思い切り

日本の北限南限近くになるのには

正直笑いを禁じ得ぬ。


※日本の北限は北緯45度31分35秒

    南限は北緯20度25分31秒

 である。



○まとめ


当講座における星座観は、

特段拘らぬであれば拘らぬでも良いのだが、

敢えて適合する物語の世界観を考えれば


・「一定の信仰がベースにある世界観」

・「緯度23.5~45度エリアの作品に適合」


となろう。


あとは、天動説的世界観ならば

なおよし、である。

何故ならば、天体現象について

余計な説明をする必要がない。


「惑星は本当に惑う星です!」と

言い切ってしまえばよいからである。


フシギ世界なんだからしょうがないじゃん、

と言い切れるのは、やはり、強い。




では、また次話。

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