第04話 中国の星座 三垣編  

ごきげんよう、崔浩さいこうである。


さて、では中国の星座であるが、

詳しく覚える必要はない。


いや、覚えても構わぬのだぞ。

しかし283ある。

解説だけでめんd

……情報過多となろう。


故に、読者諸氏にては、

大雑把な配置、存在意義、運用方法、

を把握していただくのが良かろう。


まず八つの大グループがある。

紫微垣しびえん太微垣たいびえん天市垣てんしえん、二十八宿。

ここで二十八宿は東西南北に分けられる。

(通常、青龍せいりゅう白虎びゃっこ朱雀すざく玄武げんぶで呼ばれる)

これに、後年追加される南半球の星座。


このうち南方の星座は捨てる。

見えぬ星を語る意義はない。

なので、七グループについて

大まかな役割を定め、

その中に、なんとなくの役割を振る、

と言う運用をすると良い。


では、まず三垣を語ろう。



○紫微垣


北極星を帝の星として据え、展開する。

ただし至尊はあくまで天の北極、

北辰ほくしん」である。


北極星は「北辰」に

最も近い星であるがため、

「天意の代弁者」として

皇帝の座についた。


その周辺には皇居の構成、

後宮のこと、女官のこと、

などを占う星座がある。


これらコアとなる星座たちをいったん

「右垣墻えんしょう」「左垣墻」が囲む。

ここまでが王宮中心部、

この外が外苑である。


例えば、流星が垣墻の内外どちらで

起こったかにより、

深刻度がまるで違ってくる、

と言った具合である。



なお紫微垣は、天の北極周辺である。

一方、惑星たちは黃道上を移動する。

即ち、惑星たちが紫微垣に

侵入することはない。


「不可侵の領域」としての

運用もしやすかろう。



○太微垣、天市垣


中国歴における新年、

つまり初春の真夜中に南を向き、

天頂近く、即ちほぼ真上を見上げた時に

展開しているのが太微垣である。

一年の計を占うエリア、

即ち政治の行く末を占うエリアとなろう。

そのためか、ここに展開するのは、

いわゆる政府官庁の星座である。


対して、初夏の真夜中に、

同じく南向きでいるときに

天頂部近くに大きく展開するエリアが

天市垣である。

初夏は播種が一通り終わる時期でもある。

農作物の生育を占うための星宮が

元なのやも知れぬ。

そのため、商農業に関する

内容を取り扱った星座が多い。


なお南向きとは、皇帝が、

玉座より諸侯と相対する方向である。

「皇帝が政治や…農商業の行く末を占う」

に相応しい星座配置となっている。


そして臣下は、北極星を背にする皇帝を

仰ぎ見る、と言う訳である。


両者の関係は中国史上では慣用句化され

「南面」「北面」と呼ばれている。



○運用について


さて、この「天の中央政府」であるが、

正直なところ、中国式を

そのまま運用、はしづらい。

と言うより、採用してしまうと

設定が余りにも細かくなりすぎ、

説明に一苦労となる。


諸氏が為したいのは

設定ではなく、物語であろう。

ここは「それっぽい」程度で

済ませるべきである。


なので北極星周辺は、

紫微垣、太微垣を合体させ

「皇帝/中央政府を占う星座」

と仕立て上げるのがよい。


その際、宮殿や首都の見取り図などを

どこぞより拾い、適宜配せばよいだろう。

この辺りについては、

容赦なくパクりを決める方が良いぞ。

どうせ本編のおまけ、

更にそのオプションであるしな。



北極星に皇帝、法王、大巫女を据える。

その周辺に至尊の側回り、補佐役を配する。


物語のテーマとして至尊周りが

扱われるのであれば、

「城壁の星座」の内側を全て至尊周りに、

外側を宮城として設定。


あまり至尊の扱いが大きくないのであれば、

「城壁の星座」の内側を宮城に、

外側を首都機能に設定するのが良かろう。




……などとふんわり書くだけ、

というのも些か不親切ではあるな。


次話にては、

三垣の星座を簡易紹介する。






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