崔浩先生の「厨二のための星見」講座

ヘツポツ斎

第01話 前口上        

ごきげんよう、我は崔浩さいこうと申す。


別所にては宰相として名乗っておるが、

本職は史官しかん、即ち天文観測を

ベースとした政策アドバイザーである。

その職務にて抜群の成果を収めた故、

北魏ほくぎ太武帝の耳目となり、

北魏の華北統一に大いに資した。


まぁ、我の出自はどうでも良いな。

では、その史官的立場より、

読者諸氏に問おう。



「帝星に奇星が差し掛かった……

 戦場の陛下に、よからぬ事が

 起きねばよいのだが」



いかがであろうか。

いわゆるフラグ台詞、と言う奴である。


この手の台詞、

諸君らは嗜好なされるであろうか?



無論、嗜好なされるよな。

でなくば、斯様なタイトルの講座に

わざわざ足を運ぼうとも思うまい。



まず申し上げておく。

作者に占星術的知識はまるでない。

で、あるにも関わらず

当講座を立ち上げておる。


何故か。


星見が、あまりにも厨二だからだ。


「作中で軍師や占者キャラに

 それっぽい発言をさせたいが、

 あまり深くは調べたくない!

 上澄みだけ作品に取り込みたい!」


と言う方、つまり作者の如き

メンタリティで星見的な台詞を

吐かせたい。ハッタリ大切。

と、お考えの方には、当講座は

ドンピシャであるよう思う。



では、まずこの点を語ろう。


「星見的な台詞を決めるにしても、

 何をベースにするといいんだろう?」


占星術理論は様々である。

しかし、その理屈は概して難しい。


なので、ここでは中国式をお薦めしたい。

と言うのも、台詞の理屈を考える時、

非常に楽だからである。



何故、楽なのか?


中国は歴史伝説が始まって以来、

「一人の偉大なる王」が

中華世界を支配しているべき、

と言う考えでいた。

この為、星座の分布も

天の北極を中心とした、

中央集権制度を敷いている。


即ち、天には

皇居を構成する星座群(紫微垣しびえん)、

政府を構成する星座群(太微垣たいびえん)、

首都を構成する星座群(天市垣てんしえん)、

市井を構成する星座群(二十八宿)

が存在し、ここにどう惑星が動くか、

流星、彗星、超新星などが現れるか、

により、様々な命運を推定するのである。


お分かり頂けるであろうか。

いわゆる八十八星座ベースで語るより、

圧倒的に解説が少なくて済むのである。

すごいぞ。トイレの星座とかあるからな。


以上が、中国の歴史的占星術を

厨二的台詞周りに推奨する理由である。


楽しましょうよ! 楽!

どうせ別のところでひーこら言うんだしさ!

おおっと失礼。本音が漏れた。


危ない危ない、

あまり余計なことは言うものではないな。


では、また次話。

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