第09話 天体の干渉及び運用
ごきげんよう、崔浩である。
さあ、ここからは歴史書「宋書」に見えた、
実際の天体的異常現象を語る。
と言っても、基本は「犯」である。
つまり、星座の領域を星が「犯」した、
故に凶兆である、という具合である。
○月(232件)
「犯」「入」「
犯、及び奄は重なること。
星座に重なったり、
惑星と重なるケースが見受けられる。
入は少し趣が違い、
星座のエリアに食い込んでくる。
ひとまず、星座との干渉は
カウントしない方がよい。
「何とでも言える」感が途轍もない。
惑星との干渉に絞り、扱うべきであろう。
無論、衛星が複数個ある世界観であれば、
干渉はおろか、位置関係も
占いに用いることが叶おう。
○水星(8件)
内容を見てみても、ほぼ金星と変わらぬ。
もっとも、この星については
「見えないことの方がヤバい」
とされることが多いようである。
後ほど改めて紹介する。
○金星(170件)
金星の場合、太陽より手前側を
回っている時に明度が上がる。
その為昼にも見えることがある。
これも凶兆として扱われている。
そして、星座を犯せば
「大臣が謀反を起こす」だの
「地方で騒乱が起きる」だの書かれる。
○火星(118件)
木星(37件)
土星(33件)
どれもこれも「犯し」ては凶兆、
「逆行して入」ったら凶兆、
そればかりである。
惑星の話周りが
余りにも凶兆祭すぎるため、
少し別箇の資料を調べて回った。
すると「
惑星たちがそれぞれどのような
災厄をもたらすか、が記されていた。
・
→農民一揆、疫病、凶作。
・
→土地を喪う=亡国。
・
→金属(剣)による反乱。
・
→出現しないと、飢饉。
・
→変なところに現れたら亡国。
(※木星だけは、吉兆の星となっている)
淮南子が編まれたのは漢の時代。
宋書の記事を追うと、
だいぶ淮南子の内容が
形骸化されているのを感じる。
○惑星集合
いくつかの惑星が、
一つの星官上に集結する現象。
これについては宋書に
解説記事があるので、
乱暴に訳出してみよう。
「四つの惑星が集まったら、
大乱が起こる兆しである。
しかし五つ集まったら、
これは新たな王が
世に平和をもたらす兆しである。
惑星が五つ集まったケースは、
過去に三件あった。
周の武王が
斉の桓公が覇者となった時。
四つ集まったケースは九件である。
前漢の平帝の時に二回。
西晋の 懷帝の時に二回。
西晋が滅ぼされ、東晋の元帝が立った。
漢の献帝の時には三回。
更には、
ともなれば、
東晋に入ってからの393年、407年も、
同じく解釈すべきであろう。
即ち
惑星集合は、かなりおいしいイベントの
予兆として活用できそうであるな。
ひとまず、淮南子の記事に従った凶兆、
惑星集合による大凶兆などが
運用しやすかろう。
○流星(14件)
彗星(60件)
星隕(6)
はーいもれなく凶兆ですー。
しかし251年から269年、
305年から325年など、
記録されていない期間はいかにも怪しい。
見つけてはいたけど残してないだろ疑惑が
漂って仕方がない。
天体現象として、相当なレアケース。
上手い事四星集合との使い分けが
できるとよさそうである。
客星(9件)
なんだかわけのわからぬものが
天に現れたという事は、
天の気が乱れているのだ!
という理解をすれば良いのであろうか。
全部戦乱と結びつけられている。
日蝕(18件)
宋書では、天文志には載らず、
五行志に乗っている。
理由は良く分からぬ。
18件のうち、皆既日食は4件。
さて、ではこれらお題目が、
どのように史書上に現れたのかを、
次話にて追ってみよう。
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