簡単に嘘をつく虎

リーマンの休息スポットは町中に置いてある自動販売機だ。補給地点と呼んでも良いかもしれない。100円でペットボトル飲料が買えると少しだけ嬉しい…。


約束というのは、幼い頃から守るものだと言われてきた。学校や家庭において、日本の教育ではそれが当たり前のように指導される。

でも、実際には、当然ながら簡単に約束は破られる。


「あー、ごめんね。今日はちょっと忙しいから、また明日の16時に来てよ」


それがどのようなお客さんであれ、時間を指定してくる虎の言葉を、まずは信じなくてはならない。形はどうであれ、面と向かい定めたので、それをこちら側が破ることは信用問題に関わるし、落ち度を作ることになる。


「こんにちはー」


「…」


…そして、今日も約束を守り、破られ、雨に打たれながら、次のお客様の元へと歩くのである。

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