考えない金魚

「分からない。分からない。分からない…」


こちらの質問に対して、応対する気が全く無いのか、はたまた言葉を理解していないのか。水槽の中を泳ぐそれは、何を考えているのかさっぱり分からない。

険しい環境の中で、一人で生きていかねばならないとしたら、自分の頭で考え判断することが求められる。

しかし、水槽の中で、餌を与えられ生きるその生き物は、プカプカと口を明け閉めするだけの機械のようだ。機械に対して話してもそりゃあ返答が期待出来るわけもない。


「またお伺いします」


私は、でっかい水槽を後に、今日の酒の肴は何にしようか考えるのであった。

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