第2話 転校生は未来の娘

 まやらは言った。「未来のあなたに頼まれて、ここに来た」と。どういう意味かさっぱりだが、なにか本当に理由があるのかもしれない。

「なにか、あったのか?」

「いえただ過去の自分にこんな可愛い娘いるよーって自慢したかったらしいで……がっ!」

 えいえいえいえいえいえい。

「そんっなクソみたいな理由でほんとに未来から来たってなら未来の俺に言っておけ、ネタバレすんなってな!」

「あ、そこですかー……」

「当たり前だろ!」

 ネタバレ、それはこの世で最もしてはいけない行為である。

 耐え馬である。ある推理小説を読んでいたとしよう、その推理小説を既に読んでいた子が読み始めたばかりの子に、犯人を教えたとしよう、読み始めたばかりの子は読み終えた子に何をすると思う?

 んりゃまぁ、ブチノメスだろ。

「早く戻ってそのクソみてぇな親父おれ連れてこんかいぶちのめしたるけんこのカスが」

「相当お怒りっすね菜葉くん、ですがそれは無理なご相談です」

「なんでだよ」

「お風呂入る時腕輪も一緒に選択しちゃいましたてへぺろー♪」

「……」

「いひゃいいひゃいいひゃいれふよなあくーん」

「え、ねぇわざと?わざとやってんの君?」

「何言ってるんですか!この真剣な顔を見てください!わざとに見え…あうっ!」

「尚更むかつく」

「あうっあうっあうっ!」

 俺はまやらを叩きまくり、気が済んだところで一旦止め、話を戻した。

「はぁ、で。お前今日どこ泊まんだよ」

「え?ここですけど?」

「え?」

「こ・こ♡」

 俺はその日、一睡もする事ができなかった……。



 朝目覚めると、彼女はいなくなっていた。リビングに降り、台所を見ても彼女の姿はどこにもなかった。

 夢だったのかと一安心し、朝食を食べ、いつものように学校へ行った。

 教室ではいつもより賑わっていて、近くにいた隆志たかしなにがあったのかを聞いた。

「あ?なんだ菜葉しらねーのか?今日はなんと!転校生が来るんだって!しかも女子!どーだぁ?朗報だろ!?」

「へー、良かったじゃん、誰なんだろな」

「なんだよつれねーなー、女だぜ女?青春時代を生きる俺たちにとって今最も必要な存在、女の子!」

 なんだこいつ異様に女の子なこだわるな……

「そ、そうだな…確かに青春を謳歌するには彼女とか必要かもな」

「だっろ!お前もそう思うだっろ!」

 あーもうめんどくさいなこいつ。

 とはいえこんな時期に転校か、高一でそろそろクラスに馴染めてきた頃だろうに、かーいそーだな……。

「おーい早く席につけーHR始めるぞー」

「「うぃーす」」

「でー、みんなも知ってると思うが今日は転校生がいるー、どーぞ入ってぱぱっと紹介済ませちゃってー」

「なんだよ、えらくてきとーだな!まりこちゃーん!」

 先生に向かってちゃんずけで叫ぶ隆志。そしてチョークを額に投げつけられる隆志。おもしろい。

 おっと。転校生が教室へ入ってくるぞ。どんなひ、と……だ……ろ…う~…………。

「こんにちは、赤貞 まやらです!皆さん仲良くしてください!」

 お約束、なのか?まやらは俺に視線を向け微笑む。そしてその微笑みをみて叫ぶ男子諸君。最悪だ……。

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未来少女と俺 烏丸 ノート @oishiishoyu

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