中二病患者が異世界に転移しました
@yuu_isekai
第1話
今日も今日とて全員がのうのうと過ごしている。
ふっ。心の中で笑ってしまう。
俺に守られているとも知らずにな。
そう、この高校は俺が結界を張り守っているから平和なんだ。
俺がここに結界を張っていなければここもすぐに魔物どもに襲われてしまうだろう。
「新庄くん、今日掃除当番でしょ?はい」
そういって男は俺にほうきを渡してくる。
「ふん」
無愛想にほうきを受け取る。
この世界では俺は新庄 健太と言うことになっている。今は高校2年だ。だが、俺の真の名は邪王ドゥームだ。この真名を周りに言ってもいいが俺の存在が知られると魔物どもが襲ってくる可能性がある。
「新庄くんさ、その腕けがでもしてるの?いつもしてるけど…」
「ふ、この俺が怪我などするはずないだろう。これは力を抑えてるだけだ。外したら貴様らが危険だぞ?」
「あ、そう…じゃあ外さない方向でお願い…」
男は引き気味に他の男子のところへ行く。
あいつまじの中二病だよ…とか他のやつと話しているが勝手に思っておけばいい。
さっさと掃除を終わらせて校門をくぐり学校を出る。
煙が上がっている、火事のようだ。
まさか、おれの黒炎が暴走したか!?だいぶ制御出来ていると思っていたが油断したか!
急いで煙の元に走るが火は赤い、どうやら普通の火事のようだ。
「普通の火事か…」
よく考えればわかったことだもし黒炎ならこの程度の規模なわけがない。
そこから20分程度歩くと家が見えた。どうやら帰り道も特に魔物どもに襲われなかったようだ。
「力を抑えてる状態でやつらに気づかれるとも思わないが…」
そう思いながらドアノブに手をかけると突然光に包まれた。
「っ!?」
「は?どこだここ…」
家に入ったはずが森の中にいる。道はあるようだが整備はされてないようだし土の道だ。
「まさか敵の攻撃でもくらったのか!?」
少し先からクチャクチャ音がする。
「行ってみるか」
あまりよく見えないがしゃがんでなにかを食べているようだ。
もうすこし近づきそれが何かわかる。
緑色の奴が動物を食べているようだ。
「うっ…」
近づいてはいけない気がして、ゆっくりと後ずさる。
ポキッ
木の枝を踏んでしまった。音でバレたのかその緑の奴と顔があってしまった。
緑色で背の低いやつ。ゴブリンだ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
見たこともないものに怖くなり逃げる。
無理だ無理だ無理だ無理だ!あんなの絶対倒せない!俺には特別な力なんてないんだ!
ただのゴブリンだが倒せないと悟っている。
必死に逃げるがゴブリンも追ってきている。
「あっ…」
落ちていた石につまづいてしまう。立ち上がろうとするが足がすくんで動かない。
ゴブリンが飛びかかってくる。
「くるなぁーー!」
目をつぶり手を前に向け叫ぶ。
………………
??
なにもされた様子はない。どうなった?目を開けると…
「黒炎…」
黒い炎がゴブリンの体を焼いていた。即死のようで悲鳴すらもあげていない。
「俺がやったのか…?」
自分の包帯の巻いてある右手を見ながら言う。
さっきのゴブリン…俺、異世界に転移したのか?
中二病患者が異世界に転移しました @yuu_isekai
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