帰り道

帰り道、1人で帰っていた。すると後ろから

「ねえ、ちょっと」声がした。

笹木かほりちゃんだった。

「ねえ、一緒に帰ろう」かほりちゃんと帰るのは初めてだった。突然どうしたんだろう。

「うん、いいよ。帰りこっちのみちだったっけ?」

「ううん、おばあちゃんがこっちに引っ越してきたの。だから今日はおばあちゃんの家に帰るの。」

「ふうん。」おかあさん、いま家にいないのかな。

「ねえ、覚えてる?山川君と私、去年の入学式の時に少し話したの。」

あ。さっき思い出してた時のことだ。かほりちゃんも思い出してたのかな。

「うん、話、長いねって。」

「そう!でもあれ以来クラスも違うし全然話すことなかったよね!それで今日の発表の時、去年のこと思い出してさ!山川君、どんなこなんだろうって思って!そしたら、帰り道一緒なんだもん!嬉しくなっちゃった!」

そうなんだ。僕も嬉しいな。

「ねえ、笹木さん。僕の名前、知ってたんだ。クラスも違うのに、どうして?」

「えー、それはたまたまよ!たまたま!逆に山川君はどうして私の名前、知っててくれたの?」

「えっ。それは、たまたまだよ。ほんと、たまたま。」

去年の入学式以来気になってしばらく調べてたなんて言えないよ。

「そっかー。私のこと、気にしてくれたことあったのかな。なんて期待しちゃった!私が山川君の名前、知ってたのはーー、たまたまだからね!」

なんだよ。でも、笹木さんって良い香りするし女の子って感じだよな。

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