息を している
@sumi-no-hokori
入学式
「ご入学おめでとうございます!」
僕たちは口を大きく開け、声を揃えて叫んだ。
向かいに座っている自分とあまり変わらない背丈の子どもら。新しい一年生だ。
今日は入学式。
大人は普段と違う綺麗な服をきて、一年生たちはぶかぶかの奨励服を着ている。新しいんだなってすぐわかるくらいにまったく汚れていない。
不安そうな顔の子や物珍しそうな顔の子、いつまで座ってないといけないんだろうといった顔、得意気な顔、いろんな顔が並んでいる。
この子たちはこれから小学校で生活をしていくんだ。
一年前、僕は向かい側のパイプ椅子席に座っていた。
小学生として初めて学校というところに来て、先生に言われるがまま、後を着いていき、このパイプ椅子に座っていた。
お祝いのよくわからない話を聞きながら、前の子の背中の白い糸くずを見つめていた。
何人、前で話すんだろう、と思って横を見ると、同じクラスになった隣の女の子がこっちを見て
「話、長いねー。」と言ってすぐに前を向いた。
僕は黙って頷いた。どこの幼稚園から来たんだろう。この子、ゆかちゃんより髪の毛が長い。そういえば、ゆかちゃんはどこに座っているんだろう。
回りを見渡したかったけど、なんだか動いたらいけない気がして探せなかった。
ゆかちゃんは、僕の家から少し歩いたところに住んでいる友達。髪の毛が短くて走るのが遅い。でも、すぐにおもちゃを貸してくれて優しいんだ。幼稚園も一緒で、おかあさん同士よくお話してる。
お話が終わってやっと帰れる!と思ったら
小学生の人たちが前に並びだした。
なんだろう?
全員がキレイに並ぶと真ん中の男の子が
「ご入学おめでとうございます!」と言った。すると、全員が
「ご入学、おめでとう ございます!」と叫んだ。
そして学校のこと、遠足のこと、水泳のこと、運動会とか小学校の色々なことを教えてくれた。
僕は前に立っている二年生のおにいちゃんやおねえちゃんが、なんだかかっこよくみえて、自分も同じ小学生になったことが嬉しかった。
長い時間座るのはしんどかったけど、最後はに期待で胸いっぱいになって座っていた。
そんなことを思い出しながら僕は練習してきた一年生を迎えるお祝いの発表を終えた。
かっこよく見えたかな。
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