第43話・黄昏の魔女
こんな事は、それまで一度も無かった。心配になった黒猫セラフィーノは、彼女の魂の匂いを追いかけた。辿り着いたその場所には、彼女の身体が横たわっている。今にも消えそうな生命を前にして、彼は立ち尽くした。小さな声で、囁くように言葉を
「なぜだ…なぜ俺を呼ばなかった…─」
「来て…くれたじゃないか、良いんだ…コレで…この魂、もう、喰らっていいよ…」
腹部を刺されたであろう
「真日留、真日留、お前を…愛してた」
砂のように崩れていく自分の身体を見ながら、最期の口付けをして、彼の生命もまた、その世から消え去った。それからどれほどの時が経ったのか、先に生まれ変わったのは、セラフィーノだった。場所は長谷寺の故郷と同じ、犯罪都市アズミラだ、不老不死種族の吸血型魔人として生まれついた時から自分に足りない何かを探し続けていた。あらゆる
「セラ…?」
遥か昔に、呼ばれ慣れていた名前だった。その声を聞いて、弾かれたように彼女の元へ走り寄ると、細い身体を抱き締める。ずっと探していた足りなかった何かに、
彼女は、彼と再び出会えるとは思っていなかった。あの一生きりの事だと思い込んでいたのに、彼はまた自分の前に現れてくれたのだと、優しく抱き締め返す。九埜が死んで、次に目覚めたところは、この
歩けるようになるまでは人を魔力で誘い込み、見た目の悪さに吐き気を
あっという間に数十年が経ち、九埜は気づいた。自分の身体が、どうやら成人して間もない頃から変化していない事に。不老の身か、と納得したが、さらに
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