第35話・罪創り文喰いの出会い
文喰いの高山は夢を見ていた、遠い昔、まだ生まれて数十年も経っていない頃の、懐かしい故郷での記憶が再生されていた。娯楽都市ベルゲンにある
殺しの依頼を
「はい、これあげる」
「は?え?なに?」
シャランと音を立てて自分の手に落とされたのは、市場に並んでいる店のどれかからスリ盗って来ただろう、
「これ嫌いだった?僕、アズミラに住んでて、今日は初めて出てきたんだっ!これプレゼント!君と仲良くなりたいのっ」
「そっ…そっか、じゃ、貰っとくね?僕は、高山 晃一、ベルゲンの色街に住んでる」
よく聞く地区の名前が出てきて、長谷寺の笑みはフワッと花が咲くように
「どこ行くの?」
「あ、えっと…その服、好きなの?」
「ううん、嫌いじゃないけど、好きでもないよ。あ、そうだ、僕は
「そっか、うん!よろしく」
幼い頃の長谷寺のファッションセンスは、とても無難な物だった。洒落たものにも、美しいモノにも、可愛いモノにも特に関心はなかったのだ。彼が現在のように独特なデザインの服を好むようになったのも、可愛いものが好きになったのも、他者が何を美しいと感じるのか大体を理解したのも、ほぼ全て高山の感性が影響していると言って過言ではないだろう。
幼い二人の魔物が手を繋いで、楽しそうに駆けていく姿を、大人たちも楽しそうに見守っていた。
.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます