第36話・夢の終わり
神域級の魔物たちは、その力に応じて髪が長くなる。並の知能があれば、
「なんで?」
「えっと…」
長谷寺を納得させるための理由が思いつかない高山、幼児姿の長谷寺のあまりに長い黒髪と、犯罪都市アズミラから出てきた証である[
「こんなにも美しく長い黒髪は、中々お目にかかれるモノでは
「そっか、うん、じゃあ
「かしこまりました」
上手く長谷寺の考えを誘導してくれたユリオーレに感謝しながら、高山は長谷寺の元へ戻って、店主と一緒に髪留めを選び始めた。自分と仲良くなりたいと言ってくれた彼に、何か贈り物をしたいと思い、汚れてしまった血塗れの服のかわりに新しい服を選ぶべく店舗を見て回り、行きつけの[シュノレイアーノ]に入ったのだった。服ではなく、髪留めを選ぶことになってしまったが。神域級の魔物が付ける髪留めとなると、様々な魔法陣の形の上に宝石が散りばめられているのが常だ。高山と店主ユリオーレで、十個ほどに厳選してから長谷寺に見せてみるが、意見を聞いてみれば[どれも良い]と返ってくるため、悩んだ末に高山が彼に似合うものを選んだ。
三日月のような形の魔法陣に、虹色の宝石がふんだんに
「金貨十枚でございます」
「えっ…?」
「神域SS級の魔物のお客様から、一品につきそれ以上の金額は頂けません。
店主ユリオーレは、変わらず穏やかに笑みながらそう告げた。確かに、いつも何品か購入しても質がよく美しいデザインの割りに、あまり高い支払いにならないという事を
「貴方がたには当店の品物が必要なのです…意図せずして力が暴走し過ぎない為に。彼が首に付けているチョーカー型の[神王の審判]にも、同じような効果が付与されています」
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