第11話・彼のステッキ
自分に向かって投げられた野球ボール、彼の体感的にはとてもゆっくり回っているように感じられた。金細工が美しい愛用の黒いステッキを、長谷寺は
「アンタ…いま
その言葉に、横へ振り抜いたステッキをクルクルと回しながら肩に乗せ、
「横へステッキ振って、ボールを叩き
「…だけ…って─」
おそらく、その叩き潰されたボールの
「センセー、そのステッキ何で出来てんの」
「これ?これはねぇー、セカイ一硬い石で出来てるんだよー」
「ちょっと貸してくんねぇ?」
「イイよーっ!はいっ!」
他人の言葉を疑うことなど、まるで知らない長谷寺が、何の迷いもなくズイッと目の前に差し出したステッキ。遠慮なく貸してもらおうと、千歳は手を差し出してステッキを持とうとしたが、その
「おっもっ!!何kgあるんだよコレ」
「うーん、90kgだって言われた気がするー」
よくぞ、こんな物を平然と軽そうに持ち歩けるものだと、3Dメンバーはある種の
「え、何だよ」
「んー、そのまま持ち上げると危ないんだよねー」
形の
「な…にが、危ないんだよ」
硬さと重量で表わせば確かに危ないステッキだろうが、それ以外に危険性のある物だという認識を、生徒達は持てなかった。このステッキは、仕込みの
「いーい?コレ、
初めてマトモな喋り方をしたと、全員が思った瞬間だった。大人しく首を縦に振った面々を前にして、剣をステッキに
「他には?ジュギョー、何すればいーの?」
「センセー、喧嘩はどうやってすんの?」
「えっとー、ケンカかぁー」
[どうやって殺すのか]と聞かれていれば、彼は迷わず答えを口にしただろう。彼の生まれ育った地区に喧嘩と言えるモノはあまりなかった、例えあったとしても、それは殺すことを前提にした
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