第6話・禁忌
普段の迅ならば、なんら色気の〝い〟の字も感じないような格好にしか見えないだろうが、長谷寺の持つ[
「ねぇねぇ迅ちゃん、朝ごはん?」
「─…あぁ、着替えてから来いよ」
「はぁい」
元気な返事を聞いて、そそくさと部屋を
ウンウンと
「兄さん、その人、誰?」
「おやっ!初めましてだね、何でだろ?まぁいっか!僕はねぇ、迅ちゃんのオトモダチ、
「あ、どうも。僕は酒城 透です、この人の弟」
驚いて後ろを振り返ろうとした迅の両肩にのしかかる様に手をついた長谷寺が、
彼に握手を求められて、それに応じつつ透はカウンターのほうを指差す。そこには一人分の食事が用意されており、長谷寺がテンション高くそちらへ向かうのを見て、透は納得した。普段は兄弟それぞれ、食べたい時に自分のぶんを作って食べるという生活スタイルなので、いつもならこの時間はまだ寝ているハズの兄が、朝から食事を用意していることに疑問を
「いただきまーすっ!」
喜びに弾けるような声を聞いて、自分が作った訳ではないが取り敢えず[はーい]と返して、それにしても、と透は先ほどのことを思い出していた。兄の様子は明らかに妙だったが、それよりもだ、長谷寺の姿を見た瞬間、透は
「兄さん、長谷寺さんのことす─」
バチンッと音を立てると同時に、迅は脊髄反射を思わせる勢いで透の口を
ジャケット下に付けている革製のショルダーホルスターを確認して、マガジンを確認している様子は、この辺りではよく見る光景だ。食事を終えて迅の
「ねぇ長谷寺さん」
「なぁに?」
彼と初めてしっかり視線が絡んだ瞬間、透は長谷寺が
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