第5話・紫陽花
迅は、普段こういう感じの者ではない、意地が悪く、他人をからかうのが趣味だと言わんばかりの人物である。それが、こと長谷寺に関してはこうも心の揺れを見せるのだから、罪なものだ。せっせとクローゼットの中からハンガーを取り出して、振り返った長谷寺の頭を何ともなしに撫でて口を開いた。
「今日のぶんは俺の
「ほんとっ!?ありがとぉ〜」
花が
「─…
上半身裸でドアに背を向けていた長谷寺は、自分の名前を呼ばれたのかと勘違いして、声のしたほうへ顔を向けた。迅の目からは彼の白い肌、
「キレーでしょ?ケア大変だったんだけどねぇ〜、定着してくれて良かったよ~」
身長が高いワケでも、顔の造形が男らしいワケでもないのに、その横顔と背は
「迅ちゃーん、もしもぉーし」
考えごとをする時の彼の
「えぇー…」
両手が袖口に届いていない、背丈の足りなさにションボリとしながらズボンも履いたのだが、これも足が出ない。仕方なく袖を何度か
クローゼットに
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