第11話 出迎え

「ようこそおいでくださいましたソレイユ様。我ら王国騎士団一同、皆様の到着を心待ちにしおりました」

「ご無沙汰しております、カプトヴィエル殿。ご多忙でしょうに、出迎えにお時間を割いて頂き、申し訳ありません」

「とんでもございません。ソレイユ様はルミエール領での一件と先日の竜撃の件、短期間に二度もアマルティア教団の企みを阻止している。到着を待たずして王都内はすでにあなた様の話題で持ちきりでした。そんなあなた様をこうしてお迎え出来ることを名誉に思います」


 王都の北門にてソレイユを出迎えたのは、シエル王子の臣下である近衛このえ騎士――ギュスターブ・カプトヴィエルであった。

 後ろへと流した長めの黒髪に、眼光鋭く掘りの深い顔立ち。右頬を縦に走る刃物傷など、厳つい雰囲気漂うが、それらはあくまでも外見の印象であって、実際には礼節を重んじる気配り上手の好青年だ。

 騎士として戦場へ赴くこともいとわぬシエル王子の近衛騎士を務めるだけあり、その戦闘能力は非常に高い。熱血漢なシエル王子に振り回される苦労人だが、裏を返せばギュスターブを心から信頼しているからこそ、シエル王子は自身の持ち味を最大限に発揮出来ているともいえる。公私ともにシエル王子を支える臣下のかがみで、その働きは右腕と呼ぶにふさわしい。

 

「シエル様は自らお出迎え出来ないことを悔やんでおりました。本日は午前中より王城内の会議へと出席されていますが、そちらが一段落つきましたら騎士団本部の方へと顔を出すとのことです。今後についてのお話しもございますし、一先ずは騎士団本部の方へとご案内しようかと思います。移動用の馬車を用意しておきました」

「よろしくお願いします」

「皆様の騎馬はこちらの方で騎士団のうまやへとお連れします。大きな荷物も後で、滞在時にご利用いただく屋敷の方へと運んでおきましょう。騎士団本部へは愛用の武具や貴重品等だけお持ちください」

「承知しました」


 カプトヴィエルに指示され、騎士団所属の兵士達がソレイユら一行の騎馬や荷物の運びだしへとかかった。

 ソレイユは腰に帯剣した愛用のタルワールや、これまでのアマルティア教団との戦闘で経験した事柄について綴った手記等の入った革製の鞄を、クラージュとウーはシンプルに武器と防具だけを、ファルコは二槍を、リスは愛読書が数冊入った肩掛けの鞄を、ニュクスは愛用のククリナイフと黒いコート(ただし中身は仕込み武器だらけ)を身に着け、残りの荷物は全て運んでおいてもらうことにした。


「それでは参りましょうか」


 カプトヴィエルら数名の王国騎士と共に、一行は用意されていた馬車へと乗り込んだ。


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