第48話 合流
「どっちが早かった?」
「ほぼ同時だったと思うよ。引き分けでいいんじゃない?」
ファルコは翼竜が攻撃のために降下してきたタイミングを狙う戦術で、ニュクスは高い建物の屋根や壁を使い、積極的に翼竜へと斬りかかる戦術でそれぞれ応戦。ある程度は翼竜の速さや攻撃パターンにも慣れてきたので、危なげなく撃破することが出来た。
決め手は、ファルコは正面から迫った翼竜の頭部を鋭い突きで一撃して顔面を粉砕。ニュクスの方は弱って高度の落ちた翼竜目掛けて近くの建物の煙突から
今回の戦いではっきりしたが、翼竜というのは非常に執念深い性格らしい。一度自分に傷を負わせた者を決して許さず、
翼竜のこの習性は、街を防衛するためにも大いに利用出来そうだ。危険な役目故に注意を引く役にはかなりの実力が要求されるが、上手くやれば、今後の避難活動や防衛戦を効率的に進めることが出来るはずだ。
「どうやら、コンサートホールへの避難が終わるよりも早く片付けてしまったみたいだね」
「危険を根本から取り除くに越したことはないさ」
コンサートホールの方ではマクシミリアンら衛兵による避難誘導がまだ続いていた。翼竜が撃破されたのを見て安心したのか、住民達の足取りが少し鈍くなっており、マクシミリアンが足を止めないようにと声高に注意している。新手が現れないとも限らないのだから、避難自体は早めに終わらせてもらいたいところだ。
「あの短時間でさらに二体も。流石ですね」
「よう、お嬢さん。元気そうで何よりだ」
ニュクスとファルコ以外の人気がない噴水広場へと、ソレイユとリスが到着した。
二人に加勢して二体の竜と戦う気満々だったのだろう。ソレイユは抜刀済みだった。
「やはり、ファルコもこちらにいらしていたのですね」
「はい。初戦は出遅れて犠牲を出してしまいましたが、ニュクスの協力もあり二回目の襲撃は無事に乗り切ることが出来ました。このまま、最後までお付き合いさせていただきますよ」
「ありがとうファルコ。頼りにしています」
「勿体なきお言葉です」
立ち上がって襟を正すと、ファルコはソレイユへと一礼した。
「お嬢さん。大通りの方はいいのか?」
「翼竜は撃破しましたし、オッフェンバック
「今回の事態を引き起こした、アマルティア教団の人間を
「その通りです。そのことについてニュクスのお知恵を
「ちょうどお嬢さんと合流出来たら話そうと思っていたところだ。ただし、聞きかじりな部分も多いし、想像も多分に含まれることは了承しておいてくれ」
「構いません。あなたなりのお考えをお聞かせください」
「お嬢さんのお願いとあらば」
どこか嬉しそうに笑い、ニュクスは語り始める。他の三人はニュクスを囲むようにしてその言葉に耳を傾けた。
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