第5話 キヨコ

 GW明け、朝のホームルーム前に連休中の思い出話をそれぞれの生徒がそれぞれのグループ内で語り合う。そのような中、突如としてクラスに現れた彼女は、紛うことなき「美少女」だった。 


 誰?転校生?うわ、すげぇきれ~…、クラスメートの囁き声を聞きながら、瑛美も思ってしまった。「美しい」と。

 彼女はまっすぐに席についた。GWに入る前まで全く逆の囁きを受けていた女の席に。

 潔子の、席に。

 クラスメートの囁きは、あっという間にどよめきに変わった。


 あれほど縮れてフケだらけの黒髪は、まっすぐのストレートに。元々鶏がらのように細い身体は、程よく肉がつき出るところは出て、すらっとした手足の長い体型に。スカートも膝が見えるぐらいの長さに留め、化粧も最低限しかしていないが、前髪を眉の辺りで切りそろえたことで大きな瞳とまつげが色白の肌と見事に調和されている。

 そしてそんな容姿と不釣合いな白色のリングピアスが、左耳にのみ装着されている。


「嘘・・・でしょ?」

 周囲の取り巻きにさえ聞こえないほど小さな声で瑛美が呟いた一言に、姿勢よく座った潔子は確かに瑛美を見た。

 そして、美しく笑った。

「嘘じゃ、ないよ?」


 瑛美は、潔子と出会ったときと同じ感覚におっこちた。


 

  

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