清流の中の冒険
第10話 夏休み明けの清流にて
高校から県道ひとつ隔てた住宅地の向こうに、その清流はある。積翠城のふもとに広がる城下町を抜け、険しい山並みを仰ぐ本流へと続くこの川は、町の子供たちの格好の泳ぎ場でもある。従って、生徒たちのほとんどにとって、ここは懐かしい遊び場であった。夏休みが過ぎて授業が始まると、体育教師の中には、水泳と称してここで生徒を遊ばせる者もいる。しばらくはまだ暑いので、生徒も喜んでこれに応じる。
県道は、城下町の入り口で大きく湾曲し、橋となって川の上を渡る。橋の下は堰堤になっていて、滝となった流れが、轟音を立てて水しぶきをあげている。
ここに立つと、橋の下の堰堤から川上が男子生徒、川下が女子生徒の泳ぎ場となっているのが分かる。車で走ると気づかないが、自転車や徒歩で歩道を渡る者は、川上の少年たちのじゃれあう声に微笑む。そして、川下の川原に寝そべって何事か囁きあう少女たちのまぶしい姿に見とれるのでる。
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