破綻者【前編】

神崎が来た。

「え、はるか、この人は・・・?」

「なになに!このプリティーな少女はッ!♡・・・って男かいッ!」

「そ、そうです・・」


神崎は遥河がギャンブルする時メールを送って呼んでいた。

神崎は赤理を後ろから抱きしめられる。


「ふぁー♡かわゆぃー♡」

「うぅ・・・・」

「おい神崎、それよりも――」

「き、貴様は神崎子音ではないか!?貴様のようなエリートが何故――ッ!?」


(ピクッ)「きさま・・・・?」


神崎はゴミを見る目をした。


「んーと、田代君だっけ・・?あんた何様のつもり?」

「・・・ふん、政治家風情が。」

「あ?」


にらみ合う二人。


「まぁまて、神崎、お前が出るのはこの勝負が終わってからだ。それまで俺のバックアップをしてくれないか?」


神崎は遥河の事も睨みつけていたが、指先を擦り合わている動作を見て、元に戻る。


「・・・しょうがないわね。っていうかはるちゃん、今日転校初日でしょ?何やってんのよ、まぁ私が後ろ盾になってあげるけどさ。」


「・・色々すまないな。」


「ううん♡負けたらはるちゃん退学だからよろしくね♡」


遥河は気づいた。退学=死ということ。


「神崎子音が付いたところで、きみはどの道変わらないよ。」


(そう、わたしの勝ちは揺るがないのだからねッ!さぁこいッ!ハートのキングよッ!)


そこに現れたカードはなんと、♧の4ッ!!


「・・・・ッ!?」


「ちょっとはるちゃん。大丈夫なの?」


「んー。どうだろう――」


「おいおいおいッ!!!なんでこのカードが出るんだ!?」


田代はだいぶ取り乱していた。


「ん?どうした?」


「このカードは出たはずだろ!?貴様、すり替えたなッ!」


「なんでお前、クローバーの4がでた事を知ってるんだ?」


「あのフラッシュの時だ!その時出たのだ。」


「それはちゃんと確認したか?見たか?そういうお前はカードをホイホイ流してた

だろ?まるで自分が負けることなど疑ってない用にッ」


田代は目が泳ぎ、捨て山を確認しようとした。


「・・・いいのか?それを確認しても?」


「な、なにをッ!貴様のイカさまを暴こうとしただけだッ!」


「そうか、じゃあ最初にシャッフルした時、カードを何枚かこのキチ丸君シールを貼ったんだが、それもあるはずだよな?」


「!?」


田代は最初にカードに細工がないか確認させた時、遥河は気付かれないようキチ丸君シールを付けていた。そして今使っているカードにはそれらしき跡は見つからない。田代は手を止め、遥河の話を呑んだ。


「そんなイカさまして、ただで済むと思うなよ。」


「お互い様だ。」


「まぁよい、まだゲームの途中だ。どうする?」


「もちろんレイズ・・・」


「ほぉ?いくらだ?」


遥河は神崎の顔をチラッと見た。

「え?」神崎は嫌な予感がした。


「・・・・1000万だッ!」


全員、目が驚く。


「はぁ!?貴様、正気か!?」

「はるちゃんッ!あんたいくら私でもそれは行き過ぎよ!?」

「はるか・・・僕はもうこの戦いに付いて行けないよぉ~・・」


赤理は相当参っていた。


「どうせ負けたら死ぬんだろ?ならいっそのこと、とことん行っちまおうかと思ってな。」


「呆れた・・まぁ、いいでしょ。後ろ盾するって言っちゃったもんね。私もあなたに乗るわよ。」


「そういう事だ。金の交渉はできたぞ、あとは・・・田代、お前が乗るか乗らないかだ。」


田代は考えていた。


(どういうことだ‥ッ!?この状況は、わたしが追い詰められている?そんな馬鹿なッ!バカなバカなバカなッ‼‼・・・・いや、これはあいつのブラフか?・・・そうか、神崎子音を呼んだのは、わたしを驚かせるブラフッ!あの時わたしが驚いている時こいつはゴミ山からカードを取り、キングと3を交換した。コミュニティーゾーンは盲点だった!そう、ただそれだけ!あの時にそんな時間もないし、わたしはあいつが手札のカードをテーブルに伏せていたのを知っている。あいつの持っているカードは変わらない。だからあいつが持っているカードは・・・クローバーのQとクローバーのAッ!わたしの持っているカードはハートのQとハートのA、ハイカードのAはハート。図柄勝負になればやつのハイカードのクローバーは最弱、ゴミカードだッ!ブタ同士の戦いになるが、わたしの勝ちは揺るぎない!勝てる・・・勝てるぞぉッ!そして、1千万がわたしの物に――ッ!!)


そう、このように同じカードの勝負になってしまったら図柄で勝敗が分かれる。

♤>♡>♢>♧の順だ。


田代は笑いだす。


「・・・ふっふっふ、ハァーッ!ハッハッハッ‼よかろうッ!コールだッ!」

「は、はるちゃん、なんかあいつ凄く気持ち悪いんですけど・・本当に勝てる?」


あの神崎が田代に引き気味で不安になっていた。


(パチンッ)「・・・もちろん・・・激熱だッ」


ついに遥河が指を鳴らした。

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