酔い方は人によって違う【後編】
遥河は今、田代とポーカーをしていた。
そのルールは、テキサスホールデム。カジノで現在プレイされているポーカーの中で群を抜いて高い人気がある種類。ポーカーは5枚のカードで役を作り、プレイヤーと勝負をする。
テキサスホールデムは、フロップポーカーの一種で、フロップポーカーは、テーブルにコミュニティカードと呼ばれる、参加者全員が自分のハンドとして使える共通のカードがあるのが特徴だ。プ レイヤーは、ディーラーから最初に配られた2枚のホールカード(伏せられた自分にしか見れないカード)と、ボードに開かれた5枚のコミュニティカード、計7枚のカードから最強になるように抜き出した5枚のカードでハンド(役)を作る。ゲームは各プレイヤーが2枚のカードを受け取ってから開始され、その後ベットラウンドとなる。続いて、3枚のコミュニティーカードが表向きに置かれる。 次のベットラウンドの後、コミュニティーカードがもう一枚表向きに置かれ、その後次のベットラウンドに続きます。最後に5枚目のコミュニティーカードが置かれると、最後のベットラウンドがあってショーダウン(終了)となる。
「テキサスホールデムか。」
「不満かね?」
「いや、俺も好きなルールだ。」
テキサスホールデムは本来多人数で遊ぶルールだが、2人でも問題はない。
最初に田代が持っていたカードに細工がないか、確認してシャッフル。それを田代が、左手で真ん中にカードを置いた。
「ディーラーはわたしだ。この山のカードが無くなったら終了だ。それまでせいぜい楽しむがよい。」
「あ、そう・・・ところで、袖はまくってもらおうか?」
「・・・すまないね、こういう場なのに長袖だとイカさまだと思われても過言ではないな。」そういって田代はそう言って袖をまくる。
「そうそう、終了の件なんだが、キリが良く終わらせるように。テーブルに5枚、お互いに2枚、計9枚を毎回使用していく。カードとジョーカーを合わせて54の割る9・・つまり6だ。」
「6戦ね。」
「そういうこと。」
そしてカードが配られた。
1戦目。
遥河がスリーカードで3万勝ち
2戦目。
遥河がまたフラッシュで2万勝ち。
そして、勝負は続き。
5戦目。なんと、田代プラス8万、遥河マイナス8万。遥河が負けている。
「おやおや、負けが込んでるではないか。このままだと逆転することは難しい。
そこでわたしがサービスしてやろう。」
田代が提案した物はレートを上げる事だった。
その額10万。
どちらかが、絶対に10万を得れるか、失うか。
遥河は親指と人差し指を擦り、考えた。
「・・・乗った。」
遥河はまた浅はかだったが、今回赤理は何も言わずに遥河の後ろでずっと黙っている。
ラスト6戦目。カードが配られる。
コミュニティカードは♡10、♡11、♢7.
「では、最終戦はノーリミットで勝負するか。」ノーリミットはプレイヤーの持ち金全額で勝負することができる。
「え、そんなッ!このタイミングで!?」
「赤理、大丈夫だ。問題ない。」
そう、ここは乗らざる負えない。田代は最初から狙っていた。小芽川遥河を潰すことだけを!
「ここでわたしはレイズをしよう。」レイズとはチップを上乗せすること、ここでは金が上乗せで賭ける。
「レイズ100万だ。」
「え!?100万!?学生がそんな大金持ってるはずないよ!」
赤理は動揺を隠せない。
「・・・コール」
「え!?受けるの!?」
赤理はパニックになっていた。
「決まりですね。」
次のカードがめくられる。♧の3だ
「おや?そういえば小芽川、金は持ってるのか?無いなら親御さんから支払ってもらおうと思うが?」
「俺には親はいねーよ…ただな。」
遥河は内ポケットから封筒を取り出し、机に叩きつけた。
「レイズ200万・・・ッ!金は持っている。」
そう、神崎からもらった生活金全額であった。
(こいつ・・こんな大金どこから・・ッ?いや、しかし、わたしが勝つことは必然、わたしのカードはハートのQ《クイーン》と、ハートのA《エース》、次に出るカードがハートのK《キング》なのだからな。おまけに奴のカードはハートの3とクローバーのA《エース》。勝てる。全てはわたしの目論見道理、そしてロイヤルストレートフラッシュの完成。わたしの勝ちだ!)
つまりこういう事
田代 ♡A ♡Q
♢7.♡10.♡11.♧3.♡K(伏)
遥河 ♧A ♧Q
(やつもストレートの役ができるかもしれない状況、ここは大きく出たんだろうな・・。)
「・・・いいだろう、コール。」
そして次のカードがめくられる瞬間。そいつは来た。
「やっほー!♡はるちゃんッ!♡私に何の用だねッ!」
見てわかる通り、神崎子音だ。
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