第2話 割とわざと
前回のおさらいをしよう。
俺らが敵対していた最強の敵が勝手にドジ踏んで、勝手に死んだ。そこまでが前回の起こったことだ。
そこで重要視して欲しいのがアイツが勝手に死んだところだ。俺は確かにアイツの胸に刀を突き立てたが、死んだのはアイツだ。
俺の行動で『死』という結果になったとか、俺にとってどうでもいいことだ。
それじゃあその後のことを聞いてくれ。
—————————————
さっきまで身体を痙攣させ、近づく『死』から逃れようとしていたが、ようやく静かになった。
胸に突き立てた刀を抜こうとした時、意識が違う何処かへ引っ張られる感覚に襲われ、遠い意識の中に堕ちた。
目を開くとそこは暗闇の中だった。
《主人》
背後から声がしたので振り向くと、そこには銀髪の少女が立っていた。状況の理解が及ばない中、一番の疑問を問いかける。
「ここはどこだ?」
《貴殿の意識の底だ。主従の契約を結ぶ儀式の場として利用している》
「アイツが死んだこととなにか関係があるのか?」
《左様、神より与えられし力を持った者を殺した者に主人である資格が移動するようになっている。》
「まさか。アイツの持っていた力を俺が手に入れることが出来るのか?」
《肯定、しかし、代償に貴殿の感情を一つ頂く》
俺には迷いなど微塵もなかった。組織の中でゴミとして見捨てられたこの俺が力を得ることが出来るとは思っていなかった。
このままゴミとして灰になるより、よっぽどいいからだ。
「俺が代償にするのは、“優しさ”だ。」
力を持って生きるのに優しさは枷となると考えた。優しさを捨て、強者も弱者も切り捨てて、自分の為に生きようと…
《了承した。ここから私は主人の剣となろう
My master》
目を覚ますとそこは先程のアイツが死んだところに寝ていた。俺は漆黒という表現が当てはまる剣を持っていた。
「さぁここからどうするか」
《主人の意思のままに》
「とりあえず、俺をゴミとして捨てたこの組織を潰すか」
そんな事を考える俺は本当に優しさを失っているのかわからないままに、ボスのいる所へ歩きだした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます