ごめん、手が滑った。

ノラ猫少尉

第1話 あ。ごめん。

俺は、世間で悪の組織と呼ばれる集団に所属する人間だ。


ただ、悪の組織だと言われるのは心外だ。


俺は俺の信じる正義のもとに行動している。

だから、世間が俺たちの正義を悪だと言っても、死ぬまで正義を貫くと決めている。



何故、今こんなことを言うのかというのは


簡単だ。



現在、俺らの基地に正義だと言われている人間が攻めて来ている。


上からは組織のために死ねと言われている。

どこの組織も下っ端は大変だ。

俺らはもう捨て駒なんだろう。


正義だと言われているヤツは、力を持っている、《神より与えられし力》とか言ったが、馬鹿馬鹿しい。


そんな奴に拳銃一つとナイフ一つでどう戦えばいいんだろうか。


唯一の光は、豆電球にも満たないその光は、俺の配置に着くポジションに地雷を敷いたことぐらいだ





奴が来た。


奴は仲間たちの命の灯火を誕生日のときのように楽しそうに、呆気なく消して行く。


奴は、輝く日本刀のような姿の剣を振り回し

あっという間に残すは俺だけになった。


「後は〜お前だけかぁ?」


ゆらゆらと揺れながら問いかけてくる。

悪魔だ。何故、世間はコイツに悪という称号を授与しなかったのか不思議でならない。


俺は、目の前に迫る『死』の恐怖に目を瞑り両親のこと、故郷のこと、友人のことを走馬灯のように思い出していく。


瞬間。


大きな爆発音とともに奴が吹き飛んだ。


地雷だ。地雷が作動したんだ。


奴は伸びていた。

この程度じゃあ死なない、やっぱりこいつは化け物だ。


日本刀も俺の目の前におちている。


?……あ。


返してあげないとなぁ


「俺は優しいから、人のものは返してあげるんだよね。」



俺は奴の胸に剣を突き立てた。



奴は血反吐を吐きながら言う。

「ぎざまぁ、ひっ…きょうだぞぞぞ」


「あ。ごめん。間違えた。」


奴は『恨むぞ』とばかりに睨んできたが、


「ごめん、ごめん、わざとじゃないんだ」

そう言いながら、


奴の頭にナイフを突き立てた。


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