第4話 dynamic or static
会話を遮断するかのように、突然窓が閉まった。辺りは、ぴったりと闇で塞がった。少年を襲う寒さは一層その棘を立てていて、窓が閉まったこととあわせて少年の気分を滅入らせた。
「セル……かあ」
独りでいること。独りであること。それは、当然のことのようでも、あってはいけないことのようにも思えた。そして。事実として、少年は独りであった。
少年が顔を伏せることはなかったが、その足はぴくりとも動かなかった。
教師が、苛立ちながら事態打開の鍵を探し回っていること。少年にはそれが無駄なことのように思えたが、同時にうらやましくもあった。
教師が全力で取り戻そうとしている日常。教師は、その意味や価値を突き詰めようとはしない。動き回る
もし、コンタクトがこれっきりになってしまったら。自分は絶望を感じるのだろうか? あの教師ならどうするのだろう? 分からない。
少年は。これまで闇の向こうに漫然と視線を送るだけだった。何も見えないし、見ようとするつもりもなかった。そんな自分に疑問も不満も抱いたことはなかった。そういうものだと思っていた。
しかし窓とのコンタクトが始まってからは、窓にだけではなく自分自身に意識が落ちるようになっていた。少年はひどく戸惑っていた。教師が言った他の窓の住人とは違い、変わらないはずの自分の変化に戸惑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます