第4話
最近、大学を辞めた。
まぁ、辞めたと言っても自主退学による中退ではなく、学費未納による除籍なので、辞めた、というには少し語弊があるかもしれないが。
とはいえ、上半期中に滞納分の学費を払えば中退扱いになるというのだから、まぁ、似たようなものだろう。
辞めるときに親からは、散々、時間と金の無駄だ!今までかかった分の金耳揃えて今すぐ返せ!と罵られたものだが、私はむしろホッとした。ずっと合わないと思っていたからだ。今では見事に高卒アルバイターになっているわけだけれど。
辞めた大学は、第一志望の大学だった。けれど、その大学でやりたいと思うこともなかった。やりたいこともない。夢もない。大学に入ったのだって、モラトリアム期間の延長が目的だった。けれど、モラトリアム期間を過ごすことを親は許さなかった。当然だろう。大学に通うのだってタダじゃない。ましてや、大学を経た後は就職である。資格があるのとないのとでは戦える土俵すら違ってくるのだから、それは理解できるのだ。けれど、苦痛だった。
なりたい!という強い思いがあったわけじゃない。多種多様な考え方があるのも理解できる。自分と違う考え方だから気に入らない!と駄々をこねて喚くほど、私だって子どもではない。そんなことはわかっているし、私は基本的に何かを否定することはあまりない。それでも、わかっていても、受け入れられないような価値観を押し付けられ、そのことへの理解を強制されるような環境で、教職という目標を掲げて勉強をすることは、私にとって苦痛でしかなかったのだ。
無題。 ちしゃねこ @chishaneko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。無題。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます