第53話

シンガポールには世界で3本の指に入るほど最新鋭の対ネームレス研究所があるらしい。


姫浦はそこで対ネームレスの研究チームに入るためにシンガポールに行くそうだ。


どうやらもうずっと前からそこに行くと決めていたらしく、密かに準備を進めていたそうだ。


どんな小さな可能性でも全力を出せる姫浦らしい選択ではあるが…幾ら何でも唐突すぎる。


そして…彼女は一度決めたら迷わない。ただひたすらに突き進む。


僕が説得してどうにかなるような人ならば、きっと姫浦と共に鷲中を守るためにあそこまで戦えなかっただろう。


だから説得なんてできないし…僕に『行くな』なんて言う権利はない。


そもそも…姫浦がシンガポールに行くと聞いて、こんなにも動揺していることに自分でも驚いていた。


僕は…姫浦にどうして欲しかったんだ?。


僕が一人でそんなことを考えている最中、姫浦はこんな心配事を口にした。


「もうずっと前から決めてたし、覚悟も出来てるんだけど…一つだけ、心配事があってね」


そして姫浦は母校である鷲宮東高校の校舎を見つめながら僕に言ってきた。


「鷲宮東高校は…取り壊されないかな?」


結局、その日の僕は思考がおぼつかず、勉強も手がつかなかった。


…なんで僕、こんなに動揺してるんだ?。


姫浦は…ただのクラスメート。


クラスメートとの別れなんて今までもあった。例えば槇原が転校した時とか…。だけど、その時はなんとも思わなかった。


ただ単に仲良くなかったのもあるだろうけど…。


じゃあ、姫浦は仲が良かったからこんな動揺してるのか?。


…いや、姫浦とは長く関わり合ってきたけど、仲が良かった訳ではない。どこかに遊びに行ったりなんて一度もなかった。…強いて言えば、修学旅行で一緒に回ったのがピークだろうか?。


じゃあ、なんでこんな動揺してるんだ?。


…いや、そんなのもうわかってるはずだ。


姫浦はきっと僕にとって特別な存在なんだ。


僕の手を引っ張ってくれた憧れの存在で、今まで一緒に戦ってきた戦友で…。


しかし…果たしてこれは恋なのだろうか?。


僕は姫浦が女子だからこんなに動揺することになったのだろうか?。


もし姫浦が男なら、こんなに動揺はしなかったのだろうか?。


…分からん。


結局僕は、姫浦とどうしたかったのだろうか?。


『鷲宮東高校は…取り壊されないかな?』


姫浦の言葉が脳裏をよぎった。


この気持ちは整理がつきそうにないけど…姫浦には心置きなく日本から旅立って欲しい。


僕は受験勉強の合間に鷲宮東高校が取り壊されないようにするための策を張り巡らせることにした。










季節は流れ、再び蒸し暑い夏がやってきた。


夏休みは受験勉強の総本山…暑さにめげることなく僕は勉強する日々を過ごしていた。


ボッチが不幸にも功を奏して予備校でも一人で誰かと話したりせず、勉強に専念できた。


それでもお昼の昼食の時間とかの空いた時間に時折時田が話しかけて来てくれた。


それなりに気晴らしになって良かった。


そしてお盆を迎えようとした頃…。


「やあやあやあ!!光輝の大好きなお姉ちゃんが帰ってきましたよぉ!!」


夏の湿った気圧に乗って、台風のように喧しい姉が我が家に帰ってきた。


「おぉ、勉強してるな。感心感心」


姉は机に向き合って勉強する僕に偉そうにそんなことを言ってきた。


今年の夏は望の新盆だ。


僕も受験勉強の合間に望のお墓詣りに訪れた。


望の死には前向きに向き合えたつもりだ。


それでも望のお墓を前にすれば悔しさや虚しさがこみ上げてくる。


姉も黙祷しながらその瞳に薄っすらと涙を浮かべていた。


望の代わりに自らが希望の光となることを改めて強く決意した。


その日の晩、望の死を偲びながら夕食を囲んでいた最中、僕は姉にあることを尋ねた。


「…姉ちゃんって、デザイナーなんだよね?」


「失礼な、歴としたデザイナーだぞ…まだ半人前だけど…」


「じゃあ、姉ちゃんに聞きたいことがあるんだけどさ…」


その日、僕はデザイナーである姉にある仕事の依頼をした。報酬の支払いは…出世払いでいいそうだ。








夏という受験の一つの峠を乗り越えた僕らを束の間の癒しが待っていた。


文化祭の季節がやってきたのだ。


クラスがみんな躍起になる中、僕は相変わらず微妙に蚊帳の外にいた。


加藤がこういう活動の中心にいれば、僕も関わる機会も多くなるのだろうが…今回の加藤は自分のバンドの方に集中していたため、クラスの催しにはあまり関わらなかったのだ。


だから、今年の文化祭も僕は置いてけぼりを食らうことになったのだ。…どうやら、僕は文化祭とは縁がないらしい。三年目ともなると流石に達観してしまったようで、一人でも苦ではなかった。


三年連続で文化祭でボッチとは…まるで成長が感じられないな。


そして文化祭当日…自分のクラスの出し物であるお化け屋敷での仕事を終えた僕は自由時間というトラウマを与えられた。


今年も静かになれる場所を探して一人で彷徨う…と、言うわけではなく、いくつか用事があった。


まず一つは、愛里のクラスの催しを観に行くこと。


愛里のクラスの出し物は演劇…そして愛里はなんとその劇の主役を務めているそうだ。


『観に来て』と再三にわたって言われたので、僕もこの重い腰を上げることにしたのだ。


だが、演劇の開始まではまだ時間がある。


どう暇を潰そうか考えていた僕に話しかけてくる人がいた。


「いたいた!!おーい!!光輝君やーい!!」


僕のことを下の名前で呼ぶのは…奴らしか心当たりがない。


僕の前に姿を現したのはユーチューバーのマキとミカであった。


僕の肖像権など御構い無しに、すでにミカは僕にカメラを向けていた。


「光輝君、文化祭はいかがお過ごしですか?」


マキは僕に尋ねて来た。


「いや、別に普通だけど…」


「文化祭ではどんな面白いことやってくれるんですか?」


「いや、特に何もやらないよ。…僕、なぜか文化祭とは縁がない存在だから」


「またまたぁ、そんなこと言って何か企んでるんでしょ?」


「いや、本当に文化祭では何もやるつもりはないよ。みんな勝手に盛り上がってるし、僕がわざわざ何かやる必要もないでしょ」


「じゃあ、これから普通に文化祭を見て回るんですか?」


「そのつもりだけど?」


「へぇ…ちなみに誰と見て回るつもりですか?。もしかして…彼女とですか?」


「…一人で見て回るつもりですけど、なにか?」


誰かと見て回るのが当たり前みたいなマキの言い方に対して、僕はキレ気味にボッチ宣言をした。


「…え?一人で?…嘘ですよね?」


マキは得体の知れない魑魅魍魎と遭遇したかのような顔を浮かべてそんなことを尋ねて来た。


「本気で一人で見て回るつもりですけど、なにか?」


僕は先ほどよりも強い口調で言葉を返した。


「あ、そっか、一人で見て回る方が好きなんですね?」


「いえ、一緒に見て回る友達がいないだけですけど、なにか?」


僕をフォローしようとするマキに、僕は容赦なくボッチ宣言をかました。


流石のマキも居たたまれなくなったのか、困ったように僕から目を逸らした。


そして躊躇いがちに僕に尋ねて来た。


「あの…こんなこと聞くのもなんなんですけど…この動画もアップしていいですか?。光輝君の近況報告、楽しみにしてる人もいるんで…」


「登録者数50万人超えたんだっけ?。…僕に50万人もの人の前で恥を晒せと言うのか?」


「いえ、先日の光輝君の動画でさらに注目度が上がって…登録者数がとうとう100万人を超えました」


「そっか、おめでとう。…なんでこのタイミングで素直に喜べない報告をするかなぁ…」


女装姿の次はボッチ姿を大衆に晒すのか…。


…でも、背に腹は変えられないか…。


「いいよ、アップしても」


「本当ですか?」


「だけど、一つだけ条件がある」


「どうぞどうぞ、何なりとお申し付けください」


僕は二人にこんな条件を提示した。


「動画内で僕にあることを宣伝させてもらうための時間を割いて欲しい」


そうこうしているうちに、愛里のクラスの演劇が始まる時間が迫っていた。


愛里のクラスの出し物は体育館のステージで大々的に行われた。


演目は王道のロミオとジュリエット。


だけど堅苦しいものではなく、カジュアルで時折笑える要素も挟まれ、最後まで観客を飽きさせない努力が垣間見れた。


予想外だったのはラストシーン。


ロミオとジュリエットが悲劇の別れを迫られたその時、突如として空に暗雲が立ち込め、激しい稲妻とともに世界を悲劇に陥れようと目論む黒幕である魔王が登場したのだ。


なんの伏線も脈略もなく現れたそれは中世という時代設計を無視して、近代兵器を駆使してロミオとジュリエットの両国に攻め込まんとしていた。


そんな折、こちらも伏線もなにもなく唐突に現れた世界で唯一魔王に対抗し得る聖剣に選ばれたロミオとジュリエットは二人で力を合わせて聖剣を振るい、魔王に立ち向かった。


しかし、戦いの最中聖剣は折れてしまい、二人は絶体絶命のピンチに陥った。


聖剣を始末した魔王は勝ちを確信し、油断してしまった。


その一瞬の油断をついて、ロミオは自殺用に用意していた毒薬を魔王に服用した。


すると魔王は毒に苦しみ暴れ出し、なんやかんや死を遂げた。


悪は滅ぼされ、世界は平和になり、二人は幸せに暮らして、舞台は幕を閉じた。


…いや、世界観どうなってんだよ!?。


舞台の後、舞台裏にいる愛里に会いに行き、感想を述べると愛里はこんなことを語り始めた。


「あの演劇は世の中に蔓延る目に見えない敵を魔王という形でわかりやすく表現し、魔王を倒せば平和が訪れるという安易な考えに疑問を投げかけるためのアンチテーゼであり、同時に魔王は絶望の象徴ではあるが、希望そのものであって、それに立ち向かう聖剣は政権とかけていて…」


「うん、よくわかんない」


「っていうか、さくらちゃん一人で見に来てくれたの?」


「そうだけど?」


「…私が言うのもなんだけど、さくらちゃんもっと友達作りなよ」


「…善処します」


そしてそれからしばらく経つと、体育祭で加藤達のバンド演奏が始まろうとしていた。


やはり加藤達のバンドは人気があるらしく、会場は人で埋め尽くされていた。


特に谷口の人気が高く、会場では『TANIGUTI』と書かれたうちわやTシャツがチラホラ見受けられた。


…っていうか、グッズ化されてるのかよ、TANIGUTI。


そして照明が落ち、舞台がスポットライトの強い光で輝き、袖から加藤が姿を現した。


今回の加藤の衣装は可愛いキャラクターの着ぐるみ…のはずなのだが、加藤にはサイズが小さいようで、ところどころぱっつんぱっつんで微妙に気持ち悪かった。


「微妙に可愛くないのやめろ!!」


「やるならもっと分かりやすく気持ち悪くなれ!!」


会場からはそんな謎の罵倒が飛んで来た。


加藤が微妙に気持ち悪い衣装に身を包んで舞台の上で可愛いポーズをとって顰蹙を買っていると、舞台袖から谷口ともう一人が姿を現した。


その途端、会場からは今までにないほどの大歓声が上がった。


特に『TANIGUTI』という声が特出して響いていた。


少しして歓声が少し静まったのを見計らって、加藤がマイク越しに話し始めた。


「みんなして谷口ばっかり贔屓して…もっと私を見てくれても良いんだよ?」


加藤が目をウルウルさせながら上目遣いでそう媚びると、先ほどの歓声と負けず劣らずな大バッシングが轟いた。


「引っ込めぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」


「いい加減成仏しろぉぉぉぉぉ!!!!!」


「お前は素直に歌だけ歌ってろぉぉぉお!!!!!」


ホント酷い言われようだ。


…いろんな騒がれ方されてるけど、このバンドの扱いってどうなってるんだ?。


そうこうしているうちに準備が完了したのか、バンド演奏が始まった。


演奏が始まれば先ほどまでこだましていた怒号は消え去り、会場は一体となった盛り上がっていた。


一人でノリが分からず置いてけぼりにされているあの時のように僕は薄暗いステージの下から光輝くステージを見上げていた。


…正直、その内心は複雑なものだった。


あの時…もしも何か一つでも違っていたなら…。


そういう思いが払拭出来たわけではない。


…だって、あの時から何かが明確に変わったわけではないから…。


それでも、こうして光り輝くステージの上をちゃんと直視できるのは…。


やがて一曲目の演奏が終わり、加藤が休憩がてらマイク越しに僕らに語りかけて来た。


「えっと…俺はこのバンドを結成する前、一番最初にバンドを組みたかったやつがいたんですよ。だから一時期はそいつとバンド組んでたんですけど…一曲も一緒に演奏できないまま色々あって解散しちゃって…今でも未練がましくその思いを引きずってて…。でも、そいつはもう自分の道を決めたから、多分一緒にバンド組んで演奏する機会はないと思う。だから…代わりにそいつに歌詞を書いてもらって、そいつを俺たちが演奏して、その未練に引導を渡そうと思う。これからやる曲は…俺にとっては鎮魂歌で…まぁ、いわゆる一種の葬式みたいなもんで…みんなも見届けて欲しい。…お前に見届けて欲しい」


最後の一言は、僕に向けられた言葉のような気がした。…うん、そんな気がしただけ。


「それじゃあ聞いてください。『今日という日が特別であったなら…』」


曲は谷口の静かなソロギターで幕を開けた。


ゆったりとしたバラード調でイントロがながら、加藤はその時をマイクを前に祈るように目をつぶりながら今か今かと待ちわびていた。


そして谷口な静かなギターソロが途絶えたその時、加藤は淡々とこんなことを唄い始めた。


「注意、この物語はフィクションです。実際の団体、個人には一切関係ありません」


…バカ加藤、そこは歌詞じゃねえよ。


そんな余計な注意勧告が終わると、突然ドラムの激しい音とともに曲がアップテンポで激しいものに変わり、少しすると加藤の口から僕の物語が謳われた。


「今日という日が特別であったなら…こんな寂しさも、虚しさも、僕は知り得なかっただろう。こんなものさえなければ、きっと僕は平気だった…例え喜びも、楽しみも、この胸が抱けなくとも。だけどこんな些細な孤独では、僕を変えてはくれなかった。嫌でも受け入れてしまえば、苦しくても妥協してしまえば、ほろ苦い僕の青春でも、味覚を狂わせて喉に流し込めたから」


…我ながら、なんとも虚しい物語だ。


僕はかつて体験した無味無臭の白紙の日々を思い返していた。


「やがて味も色も匂いもなくなったモノクロな何かを僕は食べ続けて、同時に他人の献立から目を背けた。きっと誰かが口にしてるそれを知ってしまえば、全部吐き出してしまいそうだったから」


僕を置いて先に進んでいく青春に、ただひたすらに焦燥感を募らせていた日々…だけど僕はそれでも目をそらして、用意された必要最低限の乾いた日々を繰り返していた。


「『ねぇ、一生それだけでいいの?』。そんな子供染みたボクが僕に問いて来て、頭ごなしに黙らせた。臭いものに蓋をして、目を背けて、知らんぷりして…いつしか僕の食は細くなった。…スパイスくらいは欲しいかな?」


そして曲調は一気に盛り上がりサビを迎え、加藤は祈るような叫びをあげた。


「『奪わないで…奪わないで』って叫んで。『離さないで…離さないで』って叫んで。燻る心、錆び付いた足、凍りつく時に火を灯して。『動き出して…動き出して』って叫んで。『歩き出して…歩き出して』って叫んで。静かに僕は叫んだ」


短いわずかな時間に垣間見せた叫びが静まり、また加藤は淡々と唄い始めた。


「今日という日が特別であったなら…僕でもそれにありつけたのだろうか?。ただひたすらに、美味しいケーキが運ばれるのを待っていた。いい加減気がつけよ、強請っても誰も与えちゃくれないって。ふと顔を見上げれば、僕の目の前には延々と遥か彼方までモノクロのそれが並んでいた。…さすがに吐き気を催した」


今のままでは延々と同じものが出され続ける。死ぬまでそれを食わされる。…そりゃあ嫌にもなるさ、そんな人生。


「『本当に一生それだけでいいの?』。子供染みたボクを抑える気力すらなくなって、泣く泣く僕はボクと向き合った。僕とボクはやがて涙を流して、叫びと共に全てを吐き出した。…心は希望に飢えていた」


そして曲調はまた変化し、加藤の歌声は荒ぶる波のように揺れていた。


「今日という日を特別にしたいなら…今日という日が特別でないのなら…やるべきことはひとつだけ、今日という日を特別にすれば良い。いつか…いつか報われるように、あの日喉に流し込んだ、この虚しさでさえも…」


再び曲はピークのサビを迎え、加藤は全身全霊、力を振り絞って叫んだ。


「『奪わないで…奪わないで』って叫んで。『離さないで…離さないで』って叫んで。震える心、走り出す足、回り出す時に従って。『動き出して…動き出して』って叫んで。『歩き出して…歩き出して』って叫んで。構わず僕は叫んだ」


加藤と僕の渾身の叫びが響く中、曲は再び始めのような谷口の静かなギターソロに変化した。


そして加藤は再三にわたって忠告するのだ。


「注意、この物語はフィクションです。実際の団体、個人には一切関係ありません」


多分、この演出は加藤のオリジナルだ。


そして加藤はさらに僕に黙ってこんな歌詞で締めくくった。


「だけどきっと、僕の物語です」


…注意事項、意味ねえじゃねえか。


そんな加藤が勝手に付け加えた要素に呆れながらも、沸き立つ会場の一角で、僕は舞台に輝く加藤を素直にまっすぐ見つめられた。


「…なんだ、カッケェじゃん」


輝かしい舞台の上に立つ加藤に向けて、ずっと言いたかったその言葉を僕はいま、ようやく吐き出すことができた。











文化祭が終わり、さらに時は流れ…季節の針は再び春を指し示そうとしていた。


僕は勉強の甲斐あって、無事に志望校に合格した。


姫浦や愛里も志望校に合格し、姫浦は卒業式の翌日、日本を発つことになった。


志望校に関してはみな概ね順調。…だが、光あるところに影もある。


時田が第一志望に落ちて、滑り止めであった僕と同じ大学の同じ学科に行くことになった。


「春からよろしくな」


そういう時田の顔は志望校に落ちた割にはどこか嬉しそうだった。…よく分からないやつだ。


これからの行く末を決める受験戦争が一通り幕を閉じ…高校生最後の宿題が終わった。


もう後は…卒業するだけ。


人類最後の世代…世界の見届け人たる僕らラストチルドレンはいま、卒業を迎えようとしていた。

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