第61話 悪魔は倒される夢を見るのだろうか。
「ジュンヤくーん❤」
そういいながら駆け寄ってくるアリス。腕を広げてる。
え? どういうこと?
こういうとき、ハーレム漫画の主人公やリア充だったら何か思いつくかもしれないが、あいにく俺はそういう展開を経験したことが一切ない。よって、この少女の行動が何を意味しているかまったくわからないのだ。
そのまま俺は、ぶつかってきたアリスの体重を支えきれずに倒れた。ちょうどアリスが上に乗っかる形になって……。
(やべえ、まさかこんなにかわいい女の子に押し倒される日が来るなんて……! 夢にも思わなかったぜ!)
「あ、ごめん。大丈夫?」
「大丈夫……ありがとうございます」
「……なんでそこで感謝?」
「あはははは」
「お姉ちゃん、なに男を押し倒してるんだ? ここは戦場だぞ?」
『そうだった!』
俺たちは、リリスの言葉でわれに返った。
そうだ、読者諸君を置き去りにしてラブコメっぽいことをしている場合じゃない! 目の前に敵がいることを忘れてた!
そうして俺と悪魔は再び対峙する。
「何ですか? わざわざこんなところに来るとは……。そしてこんな茶番まで繰り広げるとは……。よっぽど命がいらないと見える。貴方も一緒に殺して差し上げよう」
「いやだね。逆になぜ逃げない? 俺はお前を殺すと宣言したはずなのに」
「貴方は本当に私を殺せるとお思いで? 貴方は馬鹿ですか!? アホなんですか!? 気が狂っているのですか!?」
俺をあざ笑う悪魔。確かにこいつの言い分もわかる。俺は町を救い迷宮の主を倒したが、それでも無力な人間であることに変わりはない。でも。
「ははは、違うね。俺は大真面目さ。……戦うのは俺一人じゃない。俺たちなんだ。だから……覚悟しろ!」
「弱いものが集まってなんになる! もういい、全員まとめて一掃してくれる!」
そして、再び戦いが始まる。
**********
俺は走って悪魔の下へ行き、剣で悪魔を斬る。
魔法で対抗する悪魔。しかし、俺は片方の剣でそれを受け流し、もう片方で突く。
俺はいったん離れて、魔法を撃つ。
「
「遅い!」
超高速で飛ぶ魔法をかわす悪魔。確かに動きは早いな。しかし、次の瞬間。
「なに!? 動けないだと!?」
水が出て、悪魔に当たる。すると、悪魔の体がしびれて、彼は動けなくなった。
フッ。水は電気を伝えるからな。さらに追い討ちの「
よし、これで動けまい。
「みんなー、総攻撃だー!」
『オーー!!』
「外道か!」
HAHAHA,何のことかな?
「出てきて、死邪!」
ユウが例の仲間の悪魔を召喚した。ほんとに大丈夫か?
「おう! ユウ、久しぶりだな!」
「うん。で、早速だけど、あの悪魔を倒すの手伝ってくれない?」
「ああ、わかったぜ……って、よっしゃ! よりにもよってあいつか! 腕が鳴るぜ!」
うれしそうに腕をボキボキ鳴らす、死邪という悪魔。ああ、死邪よ。このハゲ悪魔にどんな恨みを持っているんだ。
俺は「とりあえずありがとうな!」という意味を込めて親指を立てる。ユウはそれを見て、同じく親指を立てて返事をした。
これで合計9人の全力総攻撃である。しかも、相手は動けない。悪魔の体には傷が増えていった。
そして、5分後。
やっとバインドが解け自由を取り戻した悪魔は言った。
「あ、すみません……。でも、私はただリリス様を連れて帰れればそれでいいのです! どうか命だけは……」
俺はにっこり笑ってこう言った。
「だーめ❤ だよね、リリスちゃん」
「うん、このロリコンの人こわいからたおしてー」
「ロリコン!?」
リリスは何かを察したらしく、これまた見事な微笑みを浮かべながらあざとい幼女の演技みたいな口調で言った(本物の幼女なのに)。
「ほらね、リリスちゃんもこういっていることだし。じゃあね。
「ちょっ、やめ、うわなにをす……くぁwせdrftgyふじこlp」
悪魔、再起不能。
町には平和が戻った。
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