第46話 一人の反省会

 地上に出ると、もうすでに暗くなっていた。

 そのまま宿屋に向かい、部屋で横になった。

 冒険者カードを見ながらボス戦のために自己分析をする。

 まず、問題は、全体的なステータスの低さだ。

 暇だったときに調べてわかったことだが、俺の今のステータスは普通の冒険者からするとLv.22ほどに相当するらしい。

 今までろくに体を鍛えてこなかったのがいけなかったのだろう。

 そもそも以前は異世界に行くことを想定していなかった(想定しているのは中二病患者のみだろうが)。

 まして、自らが剣と魔法を使い、生き物を殺し続けるなんて、ありえないと思っていた。

 悪いとはいえないし、そもそも普通は起こらないことのはず―――少なくとも一般常識では―――だから当たり前だが。

 とりあえず、これはある程度は装備品でまかなえているし、日々の鍛錬もほとんど欠かしていないため、転生直後よりはましになっただろう。

 しかし、そのほかにも、MPや魔法力が足りないゆえに攻撃がほとんど通らない。

 俺が出しうる最大火力(魔法力強化をかけた上で、魔法強化+隕石魔法)でもほとんどダメージを受けなかった。かわさずに受けたというのにだ。

 そのほかの手段では全く傷さえもつかなかったのだが。

 しかし、これは消費MPが65と膨大で、連発できるものでもない。

 むしろ一日一回のみの必殺技といったほうが正しいほどだ。

 これ以外にあれにダメージを与える術は無いだろうか。

 さらに、ステータスには記されない精神面にも、多大な負荷がかかる。

 いつまでも倒れない相手、勝ち目のない戦いというのは辛い。

 今冷静になって考えると、あの時点で退避しなければ、今頃一人での戦いにSAN値が削られ、発狂していただろう。

 ちょうど二ヶ月ほど前のキンコツゴブリン戦のように。

 さらに、あの時とは違い、増援が来る可能性もきわめて少ないだろう。

 そう考えれば、あの時退避したのは正解だったのだろうが、次は違う。

 かなりの長期戦になることはもはや確実だろう。

 そうなると、いつまで正気を保っていられるかもわからない。

 つまり、戦いの間、自分の理性も保たないといけないのだ。

 これを踏まえて作戦を立てようとするが、なかなか思い浮かばない。

 ・・・・・・罠を仕掛ける・・・・・・いや、それで動きを止めたとしても、そこから攻撃できなければ意味がない。却下。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やべえ、何も思い浮かば・・・あ、これを忘れてた!

 仲間を集めてやればいいのか!!

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