第42話 旅立ち

 隣の村に出かけていくことにした。もうLv.35の魔法剣士である。自分の身は守れるし、新しく魔法も覚えておいた。アイテムも多めに持っていった。野宿のための道具もあって、結果的に大荷物となった。

 ちなみに、今回は一人だけで行っている。一人でどれほどできるか試したかったのだ。

 早速ウルヴェンが現れた。

 戦闘開始。

「スパーク」

 ウルヴェンを麻痺状態にして、先制攻撃を放つ。

 片手剣二本を使った二刀流は、攻撃に隙ができにくく、すばやい攻撃を可能にした。

 そのおかげか、すぐに魔獣には無数の傷が付く。その傷からは血が噴き出す。

 電撃で筋肉組織を硬直させる魔法、スパークは、その効果を切らす。

 そして、魔獣は呻いてよろけながらも立ち上がり、逃げようとするが、

束縛バインド!」

 新たに覚えた束縛魔法を発動させて、魔獣の動きを再度止めた。そして、

魔法強化チャージ付与エンチャント火発生ファイア

 ナイトソードを両手で持ち、強化した火魔法を付与。そのまま走っていき、

火焔斬ファイア・スラッシュ!!」

 剣を振り上げた。

 魔獣の体は燃え上がり、そのまま息絶えた。

 よし、成功だ。肉と骨を剥ぎ取って、肉は今日の夕飯に、骨は持ち帰って素材にしよう。

 ちなみに、火焔斬ファイア・スラッシュはかっこつけただけなので、気にしないでほしい。


「疲れた~」

 一日目も終わろうとしている。

 用意しておいた火種に火発生魔法ファイアをかけ、キャンプにする。

 鉄板に魔獣肉を置き、ステーキにして食べた。

 今日の戦績は、ウルヴェン2体とスライム3体である。

 手に入ったものは、魔獣の骨が4つ、魔獣肉が数個。それと、数Gの金貨である。

 肉は、食べる分を抜いてもいくつかあまったので、向こうで売ることにしよう。

 そして、魔獣が集まってくる可能性を少しでも減らすために火を消して、翌日に備えた。

 持ってきた寝袋に入り就寝。寝て、少しでも魔力を回復させることにしよう。


 ***************


 二日目、三日目も何も無く、ただ何も無い街道をひたすら歩いて、たまに魔獣を倒しつつ、すれ違うリザードマンに挨拶をしながら、隣の村に向かった。

 夜は、草原の風を感じながらキャンプをし、その日の戦績を確認してから食事して、就寝。

 ゆっくりとマイペースで旅は進んだ。

 そして、四日目。

「着いた!」

 ダンジョン前の村、アレー。

 エンテよりも田舎なのだろう。ところどころに畑があり、建物もそんなに多くは無く、人ごみもあまり無い。

 しかし、さすがはダンジョンの前といったところか。中心部には宿屋が数件あり、武器屋や防具屋の品揃えも多い。

 そして、当然だが、冒険者も多くいた。

 宿屋には、いくつかの部屋があり、ひとつのパーティーで一つか二つの部屋を使っていた。一人で来る人は少なかったらしく、宿屋の人に驚かれた。また、部屋も数人で使うことを想定されたつくりになっているので、広くて、快適に使えた。

 冒険者ギルドと酒場はあったが、別の建物になっていた。ギルドに行って肉などを売り、お金を得てから、酒場で夕食を食べる。

 ここは農業が盛んな地域らしく、野菜中心のメニューが多かった。

 俺は、その中からサラダとスープ、パンを選び、食した。

 スープはコンソメ味のさらさらしたスープだ。美味かった。

 冒険者たちに絡まれることも無く、その日は久々の布団の感触に包まれて眠ったのだった。

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