第38話 緊急事態
何事も無く森を歩き、さらに十数分。
疲れた疲れたと連呼しながら歩いていたら、突如、巨大な影に覆われた。
自分より1メートルほど高い身長、グルグルと唸りながらこちらに近づく4本足の獣。巨大な犬だった。
あれは……
「ウルヴェンだ!!」
俺たちはとっさに茂みの中に隠れた。
何故ここに!?
正直言って、あれはトラウマだ。
転生したてのとき――あれは、死んでから2時間30分後ぐらいだろうか――あれに食べられかけたのだ。
「恐らく、コボルトを追って、ここまできたのでしょう。あわよくば、通りかかった人間を食べようとも思っていたのではないでしょうか」
おいおい、まじかよ。だとしたら……
「つまり、狙いはあたしたちなのね~。あたしらを食べたいのね~」
チェシャがのんびりした声で恐るべき事を言った。
「それ、絶体絶命じゃね!?」
俺の言葉にラビは、
「はい、そうですね。と、言うことで、戦いましょう」
あっさりと返答。
というか、ラビ、体力すごいな……。
「えっ、戦うの!? 私、もう魔力残ってないよ!?」
そこで思い出した。
「そういえば、魔力回復ポーション持ってきてた」
「おや、準備がいい」
こんな事もあろうかといくつか買っておいたのだ。供えあれば憂いなしとはこのことである。
「ちなみに私も持ってきてました」
俺とラビは、それぞれ4本ずつ持ってきたので、合計8本。一人2本ずつ飲んだ。
そして、草の陰から飛び出し、ウルヴェンに奇襲を仕掛けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます