第37話 クエスト完了……?

 そして、大量の小型犬を倒し終わった。

 小型犬たちの死体から、素材などを剥ぎ取り、山道を戻る。

「やったね~。疲れた~」

 チェシャのつぶやきに俺は首を振る。

 剣技を活用した戦闘は初めてだったが、こんなにも疲れるとは。魔力切れもあるから、倦怠感と疲労感で、気を抜いたらすぐに倒れそうだ。明日は一日筋肉痛だな。それよりも…………

「そういえば、心なしか、アリスは俺を守っていたように見えたんだけど。気のせいかな」

「…………え!? き、気のせいだよ。全体に攻撃してたんだけど……。あははははは」

 そうだよなぁ。気のせいだよな……。自意識過剰かな。

 ちなみに、アリスの心の中は……


(きゃっ、そんなに君のことが気になっていたのかなぁ。戦っているとき意識は君の方に向いていたんだよね。気をつけないと。でもさっきの剣を振っている純也君かっこよかったなぁ。私を守ってくれてたのかな。ああっ、純也君のことを考えているだけで私、しあわせっ!)


 ちょっとやばい域に達していた。

 実を言うと、ジュンヤがアリスを守っていたのは本当の事なのだが。

 20分とちょっと歩いた。

 もうすでに北の森。

 森の中の道を歩いている。

「皆さん、帰るまでがクエストですよ。警戒を怠らないでください」

 わかってる…………わかってはいるんだけど…………

「俺、疲れた」

「うん、私も」

「つ~か~れ~た~」

 もうみんな疲れきっているようだ。

「第一、警戒しろっていわれても、ここには何もいないッスよね」

「そういえばそうだね~」

「こういうときほど警戒が必要なのですよ」

 まさかこんなところに魔物がいるわけないよな。つい二週間前は何もいなかったわけだし。


 ――フラグというのは恐ろしいというのを後で知ることとなる。


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