第15話 戦いの始まり
夜中、いつもの空き地にて、2体のゴブリンは話していた。
〈ここ最近人間たちをよく見かけるなぁ〉
〈まぁ俺たちを見かけてすぐ逃げるんだけどな〉
〈〈あっはっはっはっは〉ぁ〉
もうすでにお分かりだろうが、彼らは見張り番のキンコツゴブリンである。しかし、彼らは今酒を飲みながら油断していた。夜ならば人間は絶対来ないだろうと。
〈こりゃあの人に感謝しても、し切れねぇなぁ〉
〈こうして生きていけるのも会い人のおかげだもんな〉
〈だからこうして酒がのめるってわけよぉ〉
〈〈あっはっはっはっは〉ぁ〉
その会話を聞いている人間がいることに彼らは気付かなかった。といっても彼らは人間とはまったく違う言葉を使っているので、会話の内容を知られることはないが。
〈だが人間たちももう終わりだぁ。あさってにはあの町に攻め込むからなぁ〉
〈そうだな。おろかな人間どもめ、皆殺しにしてくれるわ〉
〈〈わぁっはっはっはっはっはっはっは〉ぁ〉
彼らは勝利を確信して一際大きく笑った。
ゴブリン大征伐―ゴブリンと人間の最終戦争の火蓋が今、静かに切って落とされたことにまったく気付かずに。
ゴブリンたちがギャイギャイ騒いでいる。よく見たら酒宴をしているようだ。ここは森の中、いつもゴブリンがいる空き地。カイ、ファイ、マッチョウ、純哉と
「本当に何もないんだね」
アリスがつぶやく。
「しーっ。静かに。気付かれたらどうするんだい」
ユウが小声で注意する。ちなみにユウは転生者だという。
一方のゴブリンは時々大声で笑いながら酒を飲み交わしている。こちらにはまったく気付いていない様だ。
そして、ゴブリンたちが一際大きく笑ったとき、カイが合図した。
「いまだ」
「
アリスがこっそりと詠唱する。そして、青い小鳥のようなものが飛んでいく。これでいいらしい。
そして、帰ろうとしたら、
ガサガサ
音が鳴ってしまった。
『あ』
六人の声がかぶった。
この時のためにユウを呼んで来ていたのだ。
「
足がものすごく速くなった。追いかけてくるゴブリンを引き離しながら町へと逃げ帰っていった。
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