第10話 再び森へ

 ――あの後、お互いに落ち着いてから自己紹介をした。

 男の名前はカイ、少女はファイで、カイは町長、ファイはカイの幼馴染だった。そして、二人はそろって王国直属の騎士団の一員らしい。ちなみに、カイは26歳、ファイは24歳だった。俺とは8つ差か……。

 それはともかく、二人にゴブリン退治の事を話した。

「うん、よくわからん」

「聞いたことも無い話ね」

 町長も知らないのかよ。

 ここにいる4人はそろって首をかしげた。

 そこで、ファイが口を開いた。

「そうだ、知っていそうな人に聞いてみれば? 例えば長老とか」。

 出た、名案!

 全員がそう思っただろう。

 全員一致で長老に会うことにした。



 北の森(ゴブリン討伐に行った森)の奥に、小さなかやぶき屋根の家がある。そこに長老はエンテの町の事はもちろん、この世界の事ならほとんど知っている。

 そう言い伝えられている。

「しっかし何もねぇな」

 カイがつぶやく。

 森の中、今度は小さなかやぶき屋根の家――長老の家を探し、さ迷い歩いている。

 ここはやはり木以外は何も無い。

 そろそろ40分たつが、何もいない……と思ったらいた。鍛え上げられた肉体を持つ、大きいマッチョメンなゴブリンが。

 やっぱりね。案の定すぐに見つかった。

 ……またか。そして、すぐに逃げた。もちろん速度強化して。



 方向を間違えたらしく、出た場所は知らない家の前だった。

 4人そろって小さなかやぶき屋根の家の前に出た。

 玄関の前に白いひげを長く伸ばしたおじいさんが待っていた。

「我はエンテの長老じゃ。何用じゃ」

 カイが代表して

「私たちはあなたに聞きたいことがあり、ここに参りました」

「とりあえず中に入れ。詳しく話を聞こう」

 やった。かやぶき屋根の家の中に入り、自己紹介をして、いざ事情を話そうとすると、

「ジュンヤといったか。汝から特殊な波動を感じるぞ。例えば“転生者”のような……」

「「「えっ」」」

 そのほかの3人から驚きの声が上がった。

 そして俺は、

「すっ、すみませんっ。じっじじじっ事情を聞いてもらえますキャッ」

 緊張していた。

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