第7話 ある日のこと
あれから数日、俺は大変な生活を送ることとなった。
毎日5時に起き、3時間ほど、素振りを始めとした大変な朝稽古、それから朝食を食べて、工事現場にバイトに行く。
それも結構ハードで、マッチョウさんいわく「これも体を鍛える修行のひとつだ」とのことだが、なるほど、と思える。
そして、(昼休憩含み)11時間程度の労働を終えると、その日の給金で、公衆浴場で汗を流し、酒場で夕食を食べ、家に戻り就寝、というのが一日の流れである。
そんなある日、夕食の場で、少女に話しかけられた。
「ねぇ、ちょっと隣に座っていい?」
彼女は、12から13歳ほどの、さらさらしたストレートの金髪が印象的な美少女だった。
元の世界にいたころはそんなこと一度もなかったので、
(うっひょぉぉぉ!! 女の子が話しかけてくれたぁぁぁぁぁ!!! まじか!これは俺の妄想じゃねぇよな!? やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!)
心の中は舞い上がった。滅多に女子と話すことがなかった童貞の反応がこれである。
だが、そんな反応を表に出すと社会的に自らの存在が危うくなるため、
「ああ、いいよ」
と、紳士的に振舞った。
「私の名前はアリス。君は?」
「俺は純也。よろしく」
そんな感じで、会話は自己紹介から始まり、互いの趣味や特技など、話を広げた。
ちなみに、同年代の冒険者も多くいたのだが、それらの大半は俺のことを羨ましそうに見ていた。しかし、それに俺は気付いていなかった。
俺は、この世界に来て始めて、異性の友達を手に入れた。
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