ふたつめ
-そして、彼は新聞を開いた。-
『向日葵+煙草=日常の物語』
俺は、全てに嫌気が差していたんだ。
会社では上司のストレスの捌け口となり奴の我が儘をを一身に受け、家に帰ってもそれを吐き出せる相手がいない。
そんな日を、毎日毎日同じように過ごす日々。
入社して5ヶ月間耐え抜いてきた。
仕事が嫌だ。帰りたい。が口癖になっていた。
そしてあの日、上司の無理難題や俺の扱いがいつもより酷かった。
なんでも、奴の家でなにやら一悶着あったらしい。
おかげで俺は、その日クサクサしながら会社を出ることになったんだ。
自分家の最寄り駅の改札を通ってから少ししたところに、ソレはあった。
仕事先のあたりではあまりみられない、草の生えてない荒れ果てた空き地にソレはしっかりと根をはっていた。
勘の良い方や、視野の広い方はお気づきかもしれないが、ソレというのは向日葵だ。
題名に書いてあっただろう?
兎に角、太陽のように生き生きと立っている、ソレにその時の俺はイラッとしたんだ。
そして、俺はその時手にしていた煙草を
あ、書き忘れてたな。駅を出てから、俺は歩きたばこをしてたんだな。よい子は絶対まねしないように!周りの人の体を蝕むものなんだからな!
まぁ、カッコ悪い言い訳だがその時の俺はそんな悪いことをしてないとやってられないぐらい腐ってたんだ。
で、話を戻すが、俺は手にしてた煙草の火を向日葵に押し付けたんだ。
そしたら、向日葵は豪快に燃えたよ。
まるで、ほんもんの太陽が地球に降りたったみたいだった。
自分を害するモノを受けて輝く。受け方次第で輝くことができる、その時の俺は向日葵にそういうメッセージを見出したんだ。
僕は、机の上の新聞の見出しをもう一度確認した。
そこには、『向日葵を全国に広めよう企画!第一段!』の文字が大々的に書かれていた。
「…燃えカスになったんですけど…。」
完。
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