第6話 お祭り?

今日の村はどんちゃん騒ぎだ。

明日、俺が王都にある学園に入学を祝うために村を挙げて祝ってくれている。

まぁ、俺はこの祭りの主役であり、パフォーマンサーでもあるので、祭りの料理はあまり食べれていない。

村長宅である長屋では、この村独自の儀式の準備をしている。


ふと空を見上げると満天の星々と真ん丸の赤い月が空を覆っていた。

その赤い月に太陽の黒点のようなものが見える。その黒い点は着々と近付いてきている。

俺は空中に【望遠】と描き、指を丸めてそこを覗く。

覗いた先に見えたのは、銀色の鱗に爬虫類の瞳、背には大きな蝙蝠の羽を持った空を飛ぶ爬虫類。

そう…ドラゴンだ。


俺がドラゴンを確認してからすぐに村の見張り台から鐘の音が聞こえてきた。


ゴォン ゴォン ゴォン


祭りで浮かれていた人々も警報の鐘の音を聞き、見張り台に振り向く。


「ド、ドラゴンがこっちに向かってくるぞー!」


見張り台に立っていた村の若い男は大急ぎで梯子を下り、自らの家に入っていった。


「村の皆さんは各自家に避難してください。猟師の方たちは各々得物を持って広場に集まってください」


シスター長が迅速に指示を飛ばす。


「レミリアちゃんも協力してくれる?」


まぁ、このまま村の人々を見す見す殺すのも気が引ける。


「大丈夫ですよ」



シスター長が指示を出してから一分ほど経った。

猟師の人たちは自分の家に入り、自らの得物を手に広場に集まっている。その中には見張り台に立っていた若い男もショートボウを背負い、腰に山賊刀を身に着けて広場に集まっている。


「よく集まってくれた。まず私たちが迎撃をしてあれを地に落とす。その後は皆に任せる」


「「おぉー!」」


広場に野太い声が上がる。


「レイエムちゃんは私たちが仕留められなかったときに微力でも援護してね」


それだけ言ってシスターたちと漁師たちは森の中に入っていった。

一体俺は何をすればいいんだ?援護してくれって言われても、どこでシスターたちがいるかもわからないしさ。


【地形図】【検索】


すると網膜にこの辺りの地図が表示される。Go〇gleマップを元に考えてみた。

次に探したい物や人を思い浮かべると、表示されている地図に緑色の光点が付く。

これでどこに行っても探せるはずだ。


シスターたちが森に入っていって5分。そろそろドラゴンの全体が見えてくる頃だろう。


グゥワァワァオオォォォ!


ドラゴンのうねり声が聞こえると、空の一部が明るく光った。シスターたちが迎撃を始めたのだろう。


ピカッ ピカッ


空が昼のように白く光る。が俺はおかしなことに気づく。シスターたちはそれぞれが違う属性を得意としている。そのシスターたちの魔法が全て同じであるはずがない。


【望遠】


ドラゴンの辺りに注目すると、少し虹色の輝きが見えた。

森の木々の間から放たれるいろんな属性の魔法はどれもドラゴンを目指して飛んでいくが、その魔法はドラゴンの体に当たる前に虹色の幾何学模様に当たって、白い光を放って消滅した。


そうか、あのドラゴンは…。

俺は教会で習った一体のドラゴンを思い出す。

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