第30話 『革命』 その11

 キューさんは、ぼくを引きずったまま舞台に上がりました。


 そうして、演説を始めたのです。


 「ぼくは、91階の『主様』に付き従うロボットにして、一の門弟でありまする。お集まりのみなさま、91階の『主様』は、まさに、いまここに立ち上がりました。このモールの、新しい時代がいまこそ、いまこそ! 幕を開けるのです。91階の『主様』は、特別な力をお持ちなのです。すべての『主様』は、今後、91階の『主様』に従わなければなりませぬぞね。その力の証として、これから1分57秒間、生命維持に必要なもの以外、このモールの全電源を落としましょう。はい!主様!」


 「は? 『なんのことやら』」


       ~~『なんのことやら』~~


 それを合図に、全モールの電源が一斉に落ちました。


 あたりは、ほぼ、完璧な『暗闇』と、なりました。


 非常灯表示だけが、空間に、ぽわ~んと、浮かび上がっております。


 まあ、いんちきに等しい演出です。


 しかし、ここにいる人たちは、いま、何でも感動してくれるのです。


『おぎょわ~~~~~!!!』


『おお、どわ~~~~~~!!!』


 大騒ぎとなったのです。


『うんじゃー まいやら  うんじゃー まいやら  うんじゃー まいやら・・・なんのことやら うんじゃー まいやら ・・・・・』


 例のお祈りが、激しく会場内を渦巻きました。


『91階の『主様』は、神様じゃ~~~~!!!』


 誰かが叫びました。


 どうも、スワンの声だったような気もします。


『うぎゃ~~~~。神様じゃ~~~~~~~!!』


『神さま~~~~!!!』


『ありがたや~~~!!!!』


『ぎょわ~~~~~~!!!神よ~~~~~~~!!!』


『おごわ~~~~!!!神さまよ~~~~~~~!!!』



 もう、誰にも、手が付けられない状況となったのです。


 おまけに、このとき、怪しいガスは、高濃度でモール中に充満し、儀式はしっかり、全館に中継放送されておりましたのです。



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